踊った後は、純粋に銭湯のお湯を満喫する
そんなこんなで、2時間のDJタイムは終了。みんな踊ったから、汗をかいたでしょう? 安心してください。イベント内では、純粋にお風呂を楽しむ「お風呂タイム」が設けられているのです。
お湯入れが終了したならば、もう入るしかない。皆さん、ゆったりと銭湯のお湯を楽しんでくださいね!
ここで注意事項。先ほどまでは男湯と女湯を行き来できましたが、「お風呂タイム」ではダメです。男性が女湯には行っちゃいけないし、女性は男湯に行けません。当然ですね。そんなことしたら完全に犯罪なので……。
とにかく、音楽フェスだけで終わらないからこそ「銭湯」と「クラブ」による画期的なクロスオーバーの場になるわけです。この辺りについては、「日の出湯」のご主人・田村さんが説明してくれました。
田村さん:特に若い人たちが“銭湯離れ”をしている中、このようなイベントを通じてお風呂に入っていただく。そして『やっぱり銭湯って気持ちよかったね』と実感していただき、ご近所の銭湯へ行ってもらえるきっかけになれば……と考えております。
イベントの狙いは、見事に達成されている模様。
今回、初めて「ダンス風呂屋」に参加した“ダンス好き”の20代男性は「年配の方のイメージが強い銭湯と若者のイメージの強いフェス、お互いが歩み寄っている感じがすごく面白い」との感想を抱いたそうです。彼にとって今まで縁遠かった銭湯に触れるいい機会になったんですね。
最後に、主催者の雨宮さんと「日の出湯」の田村さんへ改めてお話を伺いましょうか。
――銭湯好きの方がクラブイベントを体験する。もしくは、クラブにはよく行くけど銭湯にあまり馴染みのない人が銭湯を体験できる。「ダンス風呂屋」は、両ジャンルがクロスオーバーするいい機会になっている気がします。
雨宮さん:ダンスミュージックは好きだけどクラブは怖くて行きたくない」という層の方々っていらっしゃいますよね? でも、銭湯ならば日常の延長線上にある場所なので、フラッと行きやすい。明るいし、いかつい人もいないので、フラッと来れる。そういう意味で、敷居を下げてる側面はあると思います。
――昨今、銭湯の経営は軒並み苦しくなってきているという話もありますが、このようなイベントを開催することによりお客さんが増える現象は起こっていますか?
田村さん:お客様の数が増えているとは言い切れないのですが、「この銭湯でダンスやってるんだって?」と言いながら来店する方は確実に増えました。銭湯が皆様の話題になり、訪れるきっかけになったのではないかと思います。
それにしても普段は牧歌的な雰囲気の浴室が、演出次第であんなにもアバンギャルドな空間になるだなんてちょっと驚きでした。こんな経験ができるのは「ダンス風呂屋」だけです。結論としては、音楽は最高だし銭湯も最高! といったところでしょうか。
取材/寺西ジャジューカ(イベニア)