「なんとなく」不登校になる子どもたち

不登校の定義は、年間30日以上の欠席(病気や経済的理由を除く)です。現在、小中合わせると約3%、中学生に限定すると7〜8%の子どもたちが不登校、もしくは不登校傾向にあるといわれています。

不登校の当事者ではない人からみると、不登校には明確な理由があると考える人が多いのではないでしょうか。意外なことに、不登校になるきっかけははっきりしないことも多いのです。

文部科学省の実態調査では、不登校になるきっかけとして「友達や教師との人間関係のトラブル」と並んで「きっかけが何か自分でもよくわからない」が上位に挙がっています。

特に小学生低学年だと、自分の違和感を言語化できず「なんとなくいやだ」という理由で学校に行けなくなる子どもも少なくありません。

本書には、はっきり「学校は、やっていいと言われたこと以外やっちゃいけないからイヤだ」と言える小3の男の子のエピソードが出てきますが、それは学校以外に安心できる居場所を見つけてから言葉になったのでしょう。

本来、学校は勉強をする場所というより、友達を通じて人間関係や目標に向けて切磋琢磨することを学ぶ場所です。

もしかしたら不登校の子どもたちは、学校が安心して失敗したり、ケンカしたりできる場所でなくなってきていることを、大人や社会に「不登校」という形でメッセージを発しているのかもしれません。