エンディングノートにトライ!
多くの確認作業が必要となる『終活』にとりかかる際は、ファーストステップとして『エンディングノート』を活用されるのがお勧めです。
最近では、エンディングノートが広く認知され、様々な形式のものが発売されていますが、お住まいの市町村によっては無償又は有償で市民に配布しているところもあります。
インターネット上でも『エンディングノート 無料』と検索すると、地方自治体やNPO団体等が独自に作成したエンディングノートが無料でダウンロードできます。
種類により詳細な項目を記載するタイプもありますが、あまり項目が細かいと初心者にはハードルが高いため、最初に記入するノートはなるべく項目の少ないシンプルなタイプがお勧めです。
エンディングノート活用のポイント5つ
- 最初から順番に書く必要はありません。記入しやすい項目から埋めていきましょう。
- 当初記入した項目が、年数の経過や環境変化により修正が必要な場合があります。変更事項はその都度分かりやすく記載し、更新日も記入しましょう。
- 可能な範囲でご家族や関係者にも内容を見てもらい、自分の意向を伝えておきましょう。
- ノートの存在と保管場所を、ご家族などに伝えておきましょう。
- 毎年の誕生日や元旦等の節目に定期的に読み直し、変更事項がないか確認しましょう。
現役世代に必要なのは、単に親世代にノートを渡すだけでなく、一緒に確認しながら記入の作業を進めてもらうことです。
資産管理などの各項目をひとつひとつ整理しながらしっかりサポートをすることで、不明な点があれば都度確認し、親と子のお互いの認識のズレを減らすことが可能となります。
なお、エンディングノートはあくまでも個人的な情報や人生の記録を書き記すものであり、ノート自体には『遺言書』のような法的効力はありませんのでご注意下さい。
法的効力が必要な場合は、別途所定の手順に従い遺言書を作成しておくことが必要です。
ポジティブな『終活』
筆者自身、30代後半でエンディングノートの存在を知り、実際に記入してみた経験があります。その時にはじめて自分自身の死について向き合う時間を持ったことで、残された時間は無限でないことをはっきり自覚し、やや漠然としていた人生の夢や目標がより明確になりました。
『終活』と聞くとどうしても『縁起でもない』とネガティブな印象を持つ方も多いかもしれませんが、いつかは誰しも人生の終わりを迎えます。逆説的ですが、自分の人生の終わりを考えることは、自分にとってよりよい人生を選択するための貴重なきっかけとなるため、実はポジティブな活動ではないかと考えられます。
自分の人生における優先順位を整理し、かけがえのない日々を大切に過ごすため、ぜひ子育て世代の皆さまにも、一度エンディングノートを書いてみることをお勧めします。
介護や延命治療、資産やお墓、相続関連等、把握しておくべきことは少なくありません。
子供の立場からはなかなか切り出しづらいテーマではありますが、親が元気な時しか聞けないことは多いものです。まだまだ親には元気でいてほしい…そんな今こそ始めるチャンスです!
日々のコミュニケーションを欠かさずに、親本人に確認しておきたいことを都度整理し、いざというときに判断に迷うことのないよう、できることからひとつずつ、手をつけてみてはいかがでしょうか。
※令和4年11月現在の情報です
【執筆者プロフィール】髙柳 万里
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー
金銭教育を受ける機会が全くないまま社会人となっていたことに愕然とし、
必要に迫られて平成二十年FP資格取得。「創意工夫と試行錯誤」をモットーに、主に親子向け金銭教育や教育費関連について執筆しています。