相手の負担を考える
たとえば、親しい友人に電話して「こんなことがあって」とつらい気持ちを打ち明ければ、それだけで心が落ち着くことがありますよね。
「大変だったね」「がんばったね」と言ってもらえたら、そこでやっと一息つける、冷静さを取り戻すのもよくあることです。
ここで忘れてはいけないのは、話を聞いてくれた相手への感謝。
「ありがとう」を伝えないまま、元気が出た自分だけを見せて終わらせてしまうと、今度はその人が「ただの聞き役だった自分」を感じて疲れます。
「誰でもよかったのでは」と思うのは寂しいことで、その後連絡があっても「また一方的に話されるだけかも」と思ったらスルーする可能性だってありますよね。
自分のために時間を割いてくれる、話を聞いてくれる負担を考えれば、必ず感謝の気持ちが生まれるはずです。
「友達だから当たり前でしょ」「自分は感謝はいらない」と口にする人がいますが、自分の価値観と相手のそれは別と考えるのが正解で、自分は犠牲をいとわないからといって相手にも同じ負担を強制するのは、正しいやり方では決してありません。
人を頼る前の方法を持っておく
つらいときに誰かを頼るのが悪いわけではなく、自分に時間を使わせること、自分の事情に相手を付き合わせることの負担を想像してそこに感謝するのが、対等な人間関係として当たり前と筆者は思っています。
そして、やみくもに人を頼るのではなくその前に自分の調子を自力で何とかする力が、心の自立を進めて他人とも上手な距離感を保てるとも考えます。
深い焦りや悲しみを抱えると、頭が混乱して何も考えられなくなりますが、そうなる前に「不調のサイン」と向き合う意識が重要です。
朝のメイクが苦痛と気がついたら出社がストレスになっている証拠、その根本には自分のミスや嫌いな人の存在などがあり、放置すれば気が滅入る一方になります。
ネガティブな気持ちが本格化するより先に、「打てる手を用意する」方向に意識を向ければ、失敗の改善や嫌いな人を避けるやり方を考えられます。
恋人と喧嘩して別れの不安がよぎるときは、原因を冷静に考えて自分に非があるなら潔く謝ること、恋人が悪くてこちらがないがしろにされていると感じたら素直に悲しいと伝えることなど、今の状態を変える関わりを思いつくはずです。
不調のサインは心に余裕が残っているときほど対処がしやすいので、逃げずに「まずは自分で変えていく」ことを心がけたいですね。