はじめて食べたとき、口のなかで甘い爆弾が破裂したようだった。
イタリア語で小さな爆弾という意味の「ボンボローニ」は、まさにスイーツの爆弾だった。
『Litus (リートゥス)(中央区新富)』では、オーナーシェフの塩月紗織さんが毎日ボンボローニを手作りしている。
サイズは大(550円/以下すべて税込)とミニ(350円)の2種類。クリームはカスタードとリコッタチーズとピスタチオの3種類。
ボンボローニは生ドーナツでもドーナツでもないと思います
サイズとクリームを告げると、厨房で塩月さんがひとつひとつクリームをしぼってくれる。作り置きをしたほうが楽だし、簡単だと思うのだが、それを良しとしない。
「クリームをつめたものを冷蔵庫で保管するとかたくなるので、ひとつひとつクリームをつめてお渡ししています」
だからこそ塩月さんのボンボローニは齧った瞬間、とろとろのクリームが口のなかで弾け散るのだ。
「ドーナツと同じ生地かと訊かれることもありますが、生地も作り方もドーナツとは違います。やっぱりボンボローニのレシピなんですよ」
味もドーナツではないと塩月さんは力説する。
卵黄、牛乳、強力粉、無塩バター、イースト菌、塩。毎朝5時頃からこれらの材料をミキシングして生地を作る。
発酵させたものをひとつひとつ型でくり抜く。
余った生地を丸めて整形すれば、ボンボローニを何個か作れそうだが、それを良しとしない。
「整形しても発酵具合が異なるので、もったいないけど処分します」
ボンボローニの生地を4個ずつ160度に熱したサラダ油で揚げていく。
「こげないように低温で揚げます。片面ずつ揚げるので油に接した部分がふくらみ、横に線ができます。この線があるのがボンボローニの特徴です」
揚げたてのボンボローニにグラニュー糖をつけたものをケースに並べて常温で保管する。