ガチョウ肉のスライスに舌鼓

【台湾6泊7日食べ歩きの旅②台北編】本当はあまり知られたくない絶品ガチョウ肉の店「鵝肉池」。雨にも関わらず店内は地元客で賑わっている

蚵仔煎屋台で小腹を満たした後は、飲みかけのビールを持って次の店へ。臨江街夜市を訪れるとかならず足を運ぶ食堂が裏通りにある。

「鵝肉池」という店名通り、ガチョウ肉がおいしく、肉汁の池で溺れてしまいそうな店なのだが、麺やスープも揃っているので、普段使いで夕食を食べに来るカップルや家族連れもいる。

店内にビールは置いていないが、持ち込みはOK。

観光客はほぼいないが、地元の人がひっきりなしに訪れる。

とても気に入っているので、これまで拙著『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』(双葉社)でしか紹介していない。

ややぽっちゃりした、笑顔のかわいい若い女性がカウンターでガチョウ肉をぶった切りにしているのだが、この日は彼女の両親とおぼしき中年の男女も店に立ち、忙しそうに客の相手をしていた。

私が日本人だとわかると「もっと日本人のお客さんに来てほしいから帰国したら宣伝してくれ」というので、ここはしっかり紹介しておきたい。

ガチョウ肉は、鶏肉やカモ肉よりも脂が少なくてヘルシーだが、うまく調理されていれば、ほどよい噛みごたえがあり、とてもジューシーだ。

【台湾6泊7日食べ歩きの旅②台北編】スライスしたガチョウのモモ肉に千切りショウガと甘辛いタレ。これで200元程度。ビールは店内にはないので持ち込みで

この店ではいろいろな部位を売っていて、胸肉やもも肉などを自分で選ぶことができる。カウンターに並んだ部位を見ながら「これ」と指させば、その場でスライスして皿に盛ってくれる。肉の量もこのときに自分で選べる。

薄くスライスされたガチョウは、したたる肉汁と皮からにじみ出る脂の甘みがたまらない。

そのまま食べても十分おいしいのだが、細切りショウガと甘辛いタレでいただくと、これまたうなるほど美味。

扉のない開放的な食堂で通りの車が行き交うのを眺めながら、肉とビールを交互に口へ運ぶ。ありがたいことに、台湾の湿度がいっそうビールをおいしくしてくれる。

「鵝肉池」のご主人と女将さんは若いので、引退はまだまだ先だが、いつ来ても娘さんがカウンターを任されている。聞けば、長女はとっくに海外へ嫁に行ってしまったそうで、仕方なく次女が店を手伝っているのだとか。

【台湾6泊7日食べ歩きの旅②台北編】店主と女将、そして次女の若女将。忙しく動き回りながらも、3人とも笑顔が絶えない

「この子はどこにもやらないの」と笑う女将さんの横で、娘も一緒になってケラケラ笑う。まだ20代前半だそうだが、すっかり若女将が板についている。

(つづく)

フォトギャラリー北投(ベイトウ)温泉の観光スポットをさらに見る
  • 【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】北投温泉の道端ではライチが売られ始めていた。 ライチのシーズンは毎年5月から6月頃と短い。 赤黒熟れたら食べ頃。 温泉浴後のフルーツは格別だ
  • 【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】MRT淡水線で台北駅から40分ほどのところにある北投公園。 5月は蒸し暑く雨も多いが、当面は薄い長袖シャツを着られる程度の快適な気温。
  • 【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】北投公園内には台北市立図書館の北投分館がある。木目調の建物は中もカフェのようにおしゃれ。窓ガラスが大きく、テラス席もあるので、館内にいても北投の緑を眺めることができる
  • 【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】今日の宿は「嘉賓閣温泉会館」(JBGホットスプリングリゾートホテル)。北投公園の目の前にありMRT新北投駅からのアクセスも抜群。予約サイトにもよるが、一泊9000円程度
  • 【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】「嘉賓閣温泉会館」はシンプルなビジネスホテル風の作りだが、大理石の浴槽があって、すごい水圧で温泉が出る。水を足さないとかなり熱いので要注意。

みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。