©清水ユウ・新潮社/鹿楓堂よついろ日和製作委員会

――カフェをモチーフにしていて、和菓子がメインになる作品って珍しいですよね。登場するメニューはご自身で考えられているんですか?

清水:基本的には担当編集さんと、次のテーマにするお菓子や料理は何にする?って話し合って、大体の形が決まったら、そのストーリーにあったお菓子や料理の具体的なレシピはフードコーディネーターさんに相談して資料をいただいています。写真もそれを参考にして作画していて、実際に試作することもあります。ナポリタンとか角煮など、わりと作っていますね。

和菓子も好きなんですけど、しっかりした練りきりなどを気軽に食べられる喫茶店ってそんなに多くはなくて……。本格的な和菓子が食べられる喫茶店があったらいいな、という想いもあって、今作では和菓子をメインに扱っています。

――アニメで見るのが楽しみなメニューはありますか?

清水:ナポリタンは楽しみですね。けっこう読者さんからの反響もあったメニューなので、アニメ映えするんじゃないかなと思っています!

アフレコ現場に入って、よりキャラクターの解釈が深まった

――原作者として、注目のポイントや見どころはどこでしょう?

清水:キャラクター同士のちょっとした掛け合いや、関係性がよく出ているような会話の足し方がすごく良くて。キャラ同士のコンビ感をセリフでポンポンとやっているのを見ると、とても楽しいし、そのテンポ感とか、ゆったりとした会話の空気感みたいなものはアニメならではの良さで、「あ、こういう魅せ方があるんだな」と感じました。

――漫画よりもサブ的な掛け合いが増えているということでしょうか?

清水:そうですね。漫画だとどうしても尺の関係でカットしてしまうような舞台裏のお話なども、アニメだとちょこちょこ入ってきたりするので、それは漫画を読んでいる方にも楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

――アフレコ現場にも伺われたそうですが、実際に観られていかがでしたか?

清水:この作品は接客の会話が多いので、アフレコを聴いていると実際にお店にいてゲストキャラと同じようなおもてなしをされている感覚になって、耳から癒やされる感じを受けました(笑)。

――とてもぴったりなキャスト陣ですよね。

スイ(東極 京水) ©清水ユウ・新潮社/鹿楓堂よついろ日和製作委員会
スイ役/諏訪部順一
ときたか(永江 ときたか) ©清水ユウ・新潮社/鹿楓堂よついろ日和製作委員会
ときたか役/中村悠一

清水:本当に恐れ多くて、最初に決まったキャストさんを聞いたときには震え上がりました。みなさんキャラクターの捉え方が本当に的確で、こちらが逆に「あ、こういう話し方をするんだ」とキャラクターの解釈が深まるような、勉強させていただく部分もすごくありました。本当にイメージ通りです。

――音響監督さんからキャストさんへのセリフについての指示などで、意外だったことや驚いたことなどありますか?

清水:最初にテストで演技するのを聴いて次に本番を録っていくんですけど、「ちょっとここのニュアンス強すぎるかな?」とか「このキャラにしては元気すぎるかな?」と、自分がなんとなく思っていたところも、こちらが言うまでもなく音響監督さんが「そこはこのキャラだったらもうちょっと抑えたほうがいい」とか、「もう少しウィスパーに」など的確に指導なさっていて、その感覚がすごいと思いました。本当にキャラクターのことをよくわかっていないと出来ないことだと思うので、とにかくすごいとしか言いようがないです。

アニメ担当氏:今回音響監督をしているのは、佐藤卓也さんというアニメ監督さんです。「鹿楓堂」監督の神谷友美さんはTVシリーズの監督を務めるのが初めてなので、佐藤さんにはシナリオなども含めたアドバイザーという形でも入って頂いています。

シナリオから一緒に作っている佐藤さんは、おそらくラストの絵まで見えていて演技指導されているのだと思うので、より的確な指示に感じるのかもしれません。そこは、少し普通の現場とは違うのかなと思います。普通は音響監督さんはシナリオ会議にまで出ることはないので。

清水:椿が若干少年っぽかったり、ときたかが原作よりはやや元気など微妙なニュアンスの違いがあるんですけど、こちらとしては完全に原作に寄せなくても、アニメはアニメでフィールドが違うので、そちらの色を出していただいたほうがいいんじゃないかなと思っています。それでも正確にキャラクターのことを把握してくださっているので、そこはもう安心してお任せしています。

©清水ユウ・新潮社/鹿楓堂よついろ日和製作委員会

――脚本にも関わっていらっしゃるんですね。

清水:監修という立場で、少し気になったところを突っ込むくらいで、基本的には確認するだけですね。設定画や脚本の部分は見させていただいているんですけど、上がってくるものが本当に原作の良さをわかってくださっている、こちらからそんなに言わなくても大丈夫なものだったので、わりとお任せしているところはあります。

――4人の掛け合いなどは清水先生からご要望を出されたりするんですか?

清水:4人の掛け合いのテンポの良さはスタッフさんが毎回詰めてくださっています。こちらから何か言うことは、ほとんどないですね。アニメオリジナルで出てくる会話もみんなとても良いので、「あ、これ原作に入れたいな」と逆に思うくらいです(笑)。

――アフレコ風景を拝見して、その後の漫画の制作に影響はありましたか?

清水:それはありますね。アフレコ現場で声を聴いてからは、お話を考えている時に声優さんの声で脳内で再生されるようになって、少しセリフに詰まったときなど、その声を思い出すと「あ、こういう風に言わせようかな」と出てくるようになった部分はあります。だから、けっこう影響されているんだろうなと思いますし、それだけキャラクターに合っているんだと思います。

アニメ担当氏:小野さんはアドリブをグイグイ掛け合いで入れてくるので、諏訪部さんはよく小野さんのことを「ほしがりちゃん」って言うんです。アドリブの会話では小野さんの色が出ていて、キャラ同士の空気感などにフィードバックされている部分はありますね。

――PVでもまだ音声が出ていない、猫のきなこは……?

きなこ ©清水ユウ・新潮社/鹿楓堂よついろ日和製作委員会
天﨑滉平(きなこ役)

清水:きなこもすごくいいですよ! 女性声優さんがやるとちょっと可愛くなりすぎちゃうかな?と思うんですけど、あえて天﨑滉平さんがやることによって、きなこの目付きの悪さやぽけっとした感じの“きなこらしさ”にとても合っていて、バッチリだと思います。収録にいらして、きなこが一声鳴くところや、あくびだけ収録されて帰られたりします(笑)。

アニメ担当氏:収録終わりにスタッフ同士で話しをしていた時も、「猫の声、すごく上手いね」と話題になっていて、天﨑さん曰く、猫の声は出してみるまで、自身でもどんな声が出るかわからないそうなんですよ。キャストさんたちも「天﨑さんは上手い」と驚かれていました。