奇行種については我々も頭を抱えています。
そうですね、例えば…。

 

 

 

 

 

スーパーのレジ付近の、生鮮食品と全然関係ない棚に冷蔵ゾーンで
カゴに入れたけど買うのをやめた商品を置くやつがいるんですよ。
あれは奇行種ですね。

 

―ああ、いますね。それは人間にもいます。

 

 

 

 

 

あと、エスカレーターの片側が暗に追い越し車線になっていて
歩かない人は左側に寄って、歩く人は右側を歩く、みたいに
なってることがあるじゃないですか。あります?
あのときに、追い越し車線で立ち止まってる奴が
いるんですよ。あれは完全に奇行種ですね。

 

―ああ、いる、いる。そういうのは、人間にもいます。なんだ、知らなかったなあ。
奇行種って、人間にも、いるんですね。

 

 

 

 

 

まあ、巨人といえども人間とはサイズが違うだけですからね

 

―非常にためになりますね…ありがとうございました。さて、そろそろお別れの時間です。
最後に、この記事を読んでいる人間に言っておきたいことはありますか?

 

 

 

 

 

はい。今日は、巨人族がいかに文化的に優れているかをお見せするため
事前に詩をしたためてきました。これを朗読させてください。

 

―詩を書く巨人、ですか。実に情緒的ですね。それではお願いします。

 

 

 

 

 

えー、オホン。
「木綿の布」

 

 

 

 

 

 

 

あなた
あなた東京へ行くそうね
東京は寒いと聞くわ
わたしも寒いと思う
東京のビル街
木枯らしが吹くと思うわ
木枯らしのビル街
いろいろ気をつけてね
いろいろ気をつけてね

 

 

―終わりですか?

 

 

 

 

終わりです。

 

―なにか聞いたことがある気がするのですが。

 

 

 

 

そういうことはないと思います。

 

―…。

 

 

 

 

 

…。

 

―好きな食べ物は?

 

 

 

 

 

スープ

 

―ありがとうございました。

 

 

 

(おわり)

大学を中退して成り行きで専門学校を卒業し、ろくに就職もせずにオモコロというサイトで出鱈目な記事を書き続けて数年、分かったのは人はインターネット上で存在感が増すほど社会的にゴミに近付いていくということでした。

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