ミランの監督就任初年度にスクデットを獲得したアッレグリだが、選手放出も伴い低迷。補強できないクラブにも原因が……  Photo by UNIPHOTO PRESS

イタリアのサッカー界ではシーズン後半になると、監督交代のニュースが次々飛び交う。
シーズン中に2度の監督交代が当たり前のクラブもある。
なぜ、イタリアではこうも短期間で監督のクビが飛ぶのであろうか……。


11月26日に行われたセルティックとのチャンピオンズリーグでミランは8試合ぶりとなる勝利を挙げた。それまで解任報道が取り沙汰されていたマッシミリアーノ・アッレグリ監督は、この勝利でひとまず首がつながった。

思い起こせば、同監督は昨シーズンの同時期にも解任間近と報道されていた。よほど強運の持ち主なのか、彼はこの試合で負ければいよいよ危ういという分岐点で持ち直す。その背後には、アドリアーノ・ガッリアーニCEOが必ずメディアの前に登場して危機に立たされる彼を庇護してくれる心強さがある。

他のクラブではそうはいかない。イタリアでは成績不振に陥っている指揮官を、クラブの会長や幹部が庇うことは特に珍しい。最初のうちは続投を表明していても、さらに不振が続けば必ずと言っていいほど、監督は解任に追い込まれる。それも大鉈を振るうようにすぱっといくのがイタリア式だ。

決断の要因としては、クラブがサポーターからの批判に耐えかねるケースが最も多い。または、クラブ内での不和やベテランとの軋轢により、クラブが監督を取るか、選手を取るかという状況に立たされる場合もある。そのような時は決まって監督が責任を取らされる。

またイタリアでは戦術にまで口を出してくる会長も多い。ミランのシルヴィオ・ベルルスコーニ会長はそのいい例だろう。過去にはアルベルト・ザッケローニやレオナルドもベルルスコーニとの関係が拙くなり、更迭されたと言われている。

レオナルドは最近になって、「私とベルルスコーニ会長の間に起こったことから考えて、将来ミランに戻ることは絶対にない。殴りつけた方は忘れていても、殴られた方はずっと覚えているものだ」と話した。実際に殴られたわけではないだろうが、そういう比喩を使って過去の苦い思いを語るほど、その関係は悪化していたのだ。