今シーズン、セリエAでは4人の監督が解任

現役時代はラツィオやフィオレンティーナで活躍したリヴェラーニ。37歳の若さでジェノアを率いることになったが、わずか6試合で解任された  Photo by UNIPHOTO PRESS

セリエA残留を目指すプロビンチアはなおさらのことで、試合の内容も厳しく吟味される。近い、それもほんの近々である未来に好結果が出そうになければ監督のクビは飛ぶ。

また、セリエBから昇格したクラブは、功績を残した監督を続投させるのではなく、新たなる野望を抱いて一新するケースが多い。よりフィジカル的な要素が物を言うセリエBでの戦い方は、戦術的な要素が求められるセリエAでは通用しないことが多いのが理由だ。

苦楽をともに過ごしてきた監督やスタッフへの熱い思いから、ともに上を目指そうとする人情のあるクラブは少なく、多くの昇格クラブが、監督と選手を大幅に入れ替えた結果、エレベーターのように下降する。

今シーズンを見ても、すでにセリエAでは4人の監督が解任された。開幕1ヵ月足らずでジェノアのファビオ・リヴェラーニ監督が解任され、10月にはカターニアのロランド・マラン監督が更迭された。11月にはサンプドリアのデリオ・ロッシ監督、キエーボのジュゼッペ・サンニーノ監督のクビが飛んだ。

ただし、クラブは契約がある以上、契約期間内は年俸を払い続けなければならないため、監督のクビを切れば切るほど、経済的に困窮する。それもイタリアでは通常、監督は副監督、GKコーチ、トレーナーらとセットで動くため、一度の監督交代でクラブが被る額は想像を超える。

それでもなぜイタリアでは簡単に指揮官のクビが飛ぶのか。そこにはやはり、停滞するチームに喝を入れるのが一番の狙いと言えるだろう。新監督が前監督以上の采配ができるとは限らないが、敗戦が続いて士気が低下すると、手の施しようがなくなる。そこでクラブは、監督を変えることで新風を吹き込もうと安易に考えるのである。

実際、監督交代した後のチームはポジション争いなどがリセットされ、少なくとも1~2試合はうまく行くことが多い。それが奏功して、シーズン中に立て直すクラブもあるにはある。言わば、クラブ側にとっては、ひとつの賭けに勝ったわけだ。

パレルモのマウリツィオ・ザンパリーニ会長やカリアリのマッシモ・チェッリーノ会長は監督切りとして有名だ。ザンパリーニ会長はベネチアから現パレルモまでの25年間で、次々に監督を切っては呼び戻し、再び解任する行為を繰り返してきた。

今シーズンは元ミランのジェンナロ・ガットゥーゾを監督に任命して注目を浴びたが、9月に解任。これで彼が解任した監督は43人にも44人もなったと言われている。あまりに数が多いため、イタリアでも記録が微妙に違ってきており、もはや正確な人数は誰にも分からない。