「負け戦」ばかり記憶していくリスク
男女関係なく「報われない片思い」を避ける人は多く、その結果ひとりの人としっかりと愛情で結ばれた関係を築けているならいいのですが、反対に「誰とも付き合えずずっと孤独」という人もいます。
「両思いになれない」とわかって好きな人を諦める経験ばかり積んでいき、「好かれる努力が実って相手からも愛される」自分を知らないのですね。
30代なかばのある男性は、叶わない思いを「無駄」と言い切り「負け戦はしないんだ」と胸を張りますが、その現実では彼女のいない生活が5年以上続いています。
自分だけが痛手を負って終わることはないけれど、誰を好きになっても両思いにたどり着けない現実が正解なのかどうかは、疑問です。
この男性の場合は、いいなと思う女性がいてアプローチをするけれど、「ダメだな」と見切りをつけるタイミングが早く、よくよく聞いてみると親密度が深くなる前に相手を諦めていました。
客観的に見て「これからお互いを知っていく流れ」と思うときでも、「自分への好意があるとはっきり伝わらない相手の態度が不安だから」早々に関係から逃げ出してしまうのですね。
その結果、「告白をして振られる」ような負け戦は確かにないけれど、その代わり「誰を好きになっても中途半端な関係しか築けない」のが、男性の経験になっています。
傷や痛みを負わない恋愛が男性にとっては理想であり、それを叶えてくれる女性を探し求めますが、実際はそんな都合のいい人はいません。
男性が忘れているのは「傷や痛みを負うのはお互いさま」という現実であって、お互いに違う人間なら感情の摩擦もすれ違いも当然に起こります。
それを避けていれば当然に相手のことを知る機会は失われ、また自分の気持ちを知ってもらうこともありませんよね。
「報われない片思い」から逃げながら実際は「負け戦ばかり経験している」人の弱点は、自分が抱える好意や愛情を相手に育ててもらおうとする依存です。