お互いに「無理をしない」状態
「彼のほうも、初対面のときは私と今のような感じになるとは思っていなかったそうで、『気楽に話せる女友達』の感覚だったと思います」
そう振り返る話ができるほど、今は心の距離が近いその男性とは、月に数回のデートを「夜遅い時間まで一緒にいる」程度の親密度があります。
お互いに好意があるのは伝わっている、それでもきっぱりとした「交際」の形に踏み切らないのは、
「今の距離感が居心地がいいからです」
と、優美さんは言い切ります。
過去の恋愛で何に懲りたのか、「男性から一方的に在り方を押し付けられる」ことより「自分を曲げてまで男性との交際にしがみつく怖さ」だったことが、今はわかるそうです。
「結婚に焦らなくなった今は、今の彼ともがんばって恋人関係にする気が起こらなくて。
私も彼も結婚はしなくていいと話すけれど、いざ付き合ったら変わるかもしれないし、今の状態でも特に不安がないのですよね」
穏やかな声でそう話す優美さんは、「無理をしたくない」という気持ちが強いように感じました。
30代のように勢いや体力があるときなら、すんなりと交際の形に収まりそうですが、あえてそれを避けるのではなく「ふたりが作る流れに身を任せる」おおらかさが、優美さんを追い詰めないのかもしれません。
ここで疑問に思ったのが男性への信頼についてで、「自分以外の女性と彼が親しくなる可能性などは浮かびませんか」と尋ねると、
「それは怖いです、もちろん。
でもお互いさまですよね、私だって外では『彼氏ナシ』で通しているし。
私に隠れて誰かと会っている雰囲気はないし、いろいろと話してくれる態度もずっと変わらないし、何かあっても柔軟に対応してくれるのを見ると、それは大丈夫なのかなと思うときが多いです」
と、自分と同じように無理をしていないと感じる男性の姿を受け止めていました。
交際にこだわらなくても、今の状態がふたりにとって無理なく過ごせる形であってそれを受け入れられるなら、一番の安心ではないでしょうか。