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高いところから飛び降りたり、長い棒を拾ってきて振り回したり。ママが「あぶない!」と思うようなことほど、子どもはやりたがりますよね。

子どもがかわいいあまり、怪我を避けたいママの気持ちはわかりますが、子どもは経験を通じて学ぶもの。あぶない体験をすれば、今度からは気をつけるようになります。

ですが、いわゆるあぶない遊びができる場所は、どんどん減ってきています。

公園には禁止事項が書かれた看板が立っていますし、車が増えたせいもあり、道路で遊んでいる子どもをあまり見かけなくなりました。

世の中の風潮としては、子どものためというよりは、何かあった時に責任を取りたくないだけなのでは、と思わせることも少なくありません。

実際に、怪我や事故が起きるとすぐに責任追及が始まり、そのため、保育や教育に携わる人々の苦労は絶えないのでしょう。保育園にお迎えに行ったら、保育士さんから子どもが蚊に刺されたことを謝られたという話を聞いたことがあります。

危険を避ける風潮が高じて、現代は、子どもをのびのびと育てることが難しくなっているのではないでしょうか。

高まる「森のようちえん」への関心

森のようちえん」をご存じでしょうか。

森のようちえんとは、自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称です。2007年に任意団体として設立された森のようちえん全国ネットワークに名を連ねる団体には、週5日子どもを預かる保育・教育施設から、週末のみ活動する団体まで、さまざまです。
自然体験を通して、子どもだけでなく、子どもに関わる大人たちの育ちあいをも大切にしていることに特徴があります。 

近年、子どもの外で遊ぶ時間が激減していることで懸念されるのは、体力の低下だけではなく、自主性など、幼少期の成長・発達への影響も同様です。

実体験を伴わない早期教育へのぼんやりとした不安や、子どもを自然の中でのびのびと育てたいという想いから、森のようちえんに関心を寄せる人は少なくないそうです。

どんなところ?

では、森のようちえんとはどんなところなのでしょうか。

普通の保育・教育施設とはどんなところが違うのか、森のようちえん全国ネットワークに所属する東京都日野市の野外保育「まめのめ」さんを取材してきました。

野外保育「まめのめ」の母体である特定非営利活動法人子どもへのまなざしが、設立されてから今年で9年。

事業の一つであるまめのめは、園舎を持たない野外保育というスタイルを取っています。雨の日などはどうしているのでしょうか?

代表の中川ひろみさんにお話を伺いました。

園舎なしでもできるのか?

―もともとはどのような形で始まったのでしょうか。

中川(N)「この活動をはじめる前は、子育てひろばの運営に関わっていました。そこで知り合ったママたちから、「外で遊びたいけど、遊びにくいのよね」「公園に行ってもなんだかわが子を怒ってばっかり…」って声を耳にしたんです。

当時、室内の子育てひろばは他にも多くあったのですが、屋外型の子育てひろばは、ありませんでした。」

―へえー。

N「そのママたちがおもしろい人が多くて、ないなら自分たちでやろうか、という感じで、自主保育を始めたんです。

最初は週2日だけだったんです。ママたちは子どものことだけじゃなくて、子どもが育つ環境のことや夫との関係など、話したいことがいっぱいあるんですよね。

それで、私が子どもたちを見ているからとことん話してね、と保育に入るようになって。

その頃はママも一緒に遊んだり、料理を作ったり、預け合ったりしていました。その後、子どもたちがだんだん大きくなって、幼稚園に行く年齢になった時、このまま幼稚園に行かないって選択肢もあり? という声が出てきて、なるほど毎日ね・・・じゃあやりますか、となったのが「まめのめ」の始まりなんですよ。」

―アクティブなママたちに引っ張られるようにして始まったんですね。

N「そうです。園舎なしでもできるのか、なるほどね、と。でも、最初から今のかたちをイメージしていたわけではなくて、やっているうちにこうなったんですね。

試行錯誤の連続です(笑)。 NPOになる時は、何度も話し合いをしました。

まとまりかけて、また一からやり直しになったりして。そうこうしているうちに、スタッフも増えてきて、後から会計など、枠組みが整っていった感じです。」