どこで保育をするの?

―どこで保育をするのですか?

N「毎日拠点となる集合場所に集まって、どこかに出かけます。」

―日野市は都内でも自然が多い方ですよね。

N「そうですね。市内と周辺の山や川や里山に出かけていきます。たまに遠出することもありますが、だいたいは徒歩か電車で行ける所に行きます。」

―動物園などには行かないのですか?

N「動物園はどしゃぶりの雨の日に行く場所です。(笑)」

―多少の雨なら外で遊んでしまうのですね。

N「雨の日だって楽しいんですよ。それと、今年は雪がたくさん降ったので一週間くらい雪で遊べましたね。土手でそり滑りをしたりして。」

―最近の子どもは雪でも、外であまり遊ばないと聞きます。私の家の近くの大きめの公園でも、子どもは見かけませんでしたね。

N「どうやら危ないからダメと学校でも言われているようです。ダメって言われてもやりたいのが子どもだと思うんですけど…。

夏は川で遊びます。最初は泳ぐのは無理かなーと思っていたのですが、だんだん浅いところから入ってみて、大丈夫かな? と確かめながら、いけるいける? いっちゃう? あらー、いけるねえ、と、今では夏は当たり前のように多摩川で泳ぐようになりました。

そうやって安全性を確かめながら、自由に遊べるフィールドを増やしていっています。」

応援する人、怒る人

―最初、子どもは何人いたんですか?

N「最初は7人で、年度途中に13人になって、その次の年は22人在園となりました。

―一気に増えたんですね。

N「今は36人です。1歳児にはまめのめの活動はまだ厳しいのではないかと悩むこともあるのですが、それぞれの家庭の事情を聞くとなるほど…となりどうしてもノーとは言えず(笑)」

ーそれだけの人数の子どもがリュックを背負ってぞろぞろ歩いていたら、目立ちますよね。

N「おもしろそうなフィールドを求めて、あっちへ行っては怒られ、こっちへ行っては珍しがられ。(笑)」

―怒られるというのは?

N「子どもが迷惑をかけて怒られるというより、保育者が怒られることはよくあります。子どもにこんな危ない遊びをさせてって。

意外とお年寄りからは、なつかしいなあ、昔の子どもってこんな感じだったよね、と好意的な声をかけていただくことが多いです。

近所の農家さんが、栗拾いを手伝ってくれないかと言ってきてくださったり、それがきっかけでおつきあいが始まることもあります。」

―お年寄りの方にとっては、昔の自分たちを見ているような感じなのでしょうね。

N「逆に、もう少し下の世代の方の方が厳しかったりします。」

―今は危ないことは避ける傾向にありますもんね。

N「ここでは怪我をしないことが最優先ではないんです。こう言うと誤解されるかもしれませんが、怪我は治りますから。」

―怪我から学ぶこともありますよね。ただ、それを理解できない人もいるのではないでしょうか。

N「びっくりする人はすると思います。子どもたちが急な斜面を登っているのをみて、“本当に危なくないんですか?”って何度も聞いてくる人もいますし。

いや、危ないかもしれませんが、やっている子どもはやりたくてやっているので。もちろん、やりたくてもまだ難しい子もいますし、やりたくない子はやりませんからね。」