突然ですが、あなたは子どもにどんな大人になってほしいですか?
いい学校を卒業して、安定した大企業に就職してほしい、という人がまだまだ多数派でしょうか。子どもが望むことよりも、親が準備した道を歩ませた方が安心だわ、という心配性のママもいるかと思います。
ともすれば親は、自分の歩んできた道を子どもにも歩ませたがるもの。それは、それ以外の道を知らないからかもしれません。ですが、その道はこれからの時代にも通用するのでしょうか。
人口減少、高齢化社会、膨れ上がる国債など、今、日本が抱える問題は山積みです。加えて、現代はこれまで人間がしてきた仕事をAIが代わりにやってくれる時代に突入しています。
今まで日本人が経験したことのない時代に入っていくのですから、子どもの育て方も、時代に応じて変わっていかなくてはなりません。
では、いったいなにを指針にしたらいいのでしょうか。
これからの時代を生き抜くための子育てを考える時、茂木健一郎さんの『結果を出せる人の脳の習慣 「初めて」を増やすと脳は急成長する』(廣済堂新書) が、ヒントになるかもしれません。
アウェーに弱い最近の日本人
これからの時代に結果を出せる人になるためには、これをこうしたらいいというマニュアルは、残念ながら存在しません。
茂木さんは「アウェーで戦える人が最強」と言っています。アウェーでの緊張を楽しみ、自分の可能性のリミッターを外せるような人材こそが、これからの勝ち組です。
ホームとは、慣れ親しんだやり方が通用する世界です。そこでは、そこに流れる文脈を読み、それに最適なやり方を身につけることが求められます。
ところが、いったんホームを出ると、そこはアウェー。まったく文脈の違う世界、もしくは文脈そのものがない場合もあります。
そこで思考停止して、実力を発揮できなくなってしまうようでは、これからの時代においては不利ですよね。
茂木さんは、最近の日本人にはホームでは強くてアウェーに弱いタイプが増えてきているようだ、と言っています。
子どもにとってはアウェーがデフォルト
「生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、まさにこの世のすべてがアウェーです」と、茂木さんは言います。
まだハイハイもできない頃から、部屋の中や自分のこぶしをじっと目で追う赤ちゃんの瞳、キラッキラに澄んでいますよね。
それから、なんでもなめたり、這いずりまわったり、親の真似(新生児模倣)をしたりしながら、少しずつこの世に最適な対応を獲得していきます。
子どもがさらに大きくなると、雨の日や、家の中にいないといけない時など、つまんなーい、退屈だーと文句を言いだしたります。
そんな時、親があわてて何かを与えなくても、放っておくと、自分で遊び始めるのが子どものすごいところ。
それがいたずらに発展することもままありますが、子どもにとって、退屈は耐えられないほどのことなのです。
「退屈を感じるのは、脳の正常な反応」です。
つねに刺激を求め、新しい遊びを追求する姿こそ、子どもらしい子どもと言えるでしょう。