4.幼稚園には手ぶらで登園!?

日本では、子どもが幼稚園に行くようになると、園で使う道具や持ち物を用意するのがけっこう大変。毎日お弁当を持って行く園もありますし、園によっては手作りのアイテムが必要になることも。

同書によると、フランスでは、3歳になると希望者ほぼ全員が保育費無料(給食費は所得に応じた金額が必要)の公立幼稚園に通える仕組みなのですが、そこではなんと!子どもたちが使う物は、ほとんどが用意されていて、「手ぶら」で行けばOKだったそうです。

これは、本を読んでいて、一番ビックリしたポイントかもしれません。「なんで日本の幼稚園や保育園ではできないの!?」と叫びたくなりました。同じ気持ちになったママも多いのではないでしょうか。

5.社会制度が整っていて、ママのプレッシャーが少ない

もちろん、日本の幼稚園の準備が大変なのは、保育の質や園の努力が足りないからではありません。保育費無料や「手ぶらで登園」を実現するには、国が保育や幼児教育にかなりの予算を割く必要があります。フランスと日本とでは、社会の仕組みや制度が根本から違うのです。

母乳プレッシャーに3歳児神話、ワンオペ育児、保育園に入れない待機児童問題、働くママのマミートラック……。

人によって状況は異なりますが、日本のママが直面する問題・悩みを数え上げれば、きりがありません。子育てを始めた多くのママが、社会の制度や風土が必ずしも子育てをする女性にマッチしていないことに気づかされ、愕然とするのが現状です。

同書によると、フランスでは、公立の幼稚園が保育費無料で、ほぼ全員入れるだけでなく、労働者を守る制度が浸透しているため、パパにも時間的な余裕があり、育児に積極的に関わる傾向があるそう。

また、母親も仕事を持つのが当たり前と考えられていて、家族が協力してくれる、夫婦の時間を大切にする文化がある、いいママであるべきというプレッシャーがないなど、文化や風潮の面でも、ママにとってラクな面が多いようです。

まとめ

以上、今回は、国末則子さん著『パリの朝食はいつもカフェオレとバゲット ―フランス人はなぜ仕事と子育ての両立が上手なのか?』を読みながら、フランスのママと日本のママの子育て事情を比較してみました。

おそらくフランス社会にも独自の問題があり、フランスのママたちもそれなりに不満や悩みを抱えているとは思いますが、この本を読む限りでは、子育て環境は日本よりも整っている印象を受けます。

というより、もしかしたら日本のママがプレッシャーや困難を抱えすぎている、というのが正解なのかもしれません。

ただ、制度や社会、文化的背景については、今すぐに変えるのは難しい面があります(ママたち自身も声を上げていくなどして、改善のために努力すべきではありますが)。

しかし、1〜3のような食事面の工夫であれば、フランス流を真似ることも可能。

和食は栄養面でも味の面でも優れたものですが、忙しい時期は紙ナプキンにパンのカンタン朝食で乗り切るのもアリでしょう。

日本の保育園や学校でも、栄養バランスのとれた給食が出るので、例えば働くママなら、平日は簡単メニューで通して、土日だけ手料理に力を入れるのもいいですよね。

「手抜きじゃなくてフランス流」と思えば、「ちゃんとこなさなきゃ」というプレッシャーも軽くなるのではないでしょうか。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。