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東京・Bunkamura オーチャードホールにて今月10日から上演中の韓国ミュージカル『VAMPIRE~愛と憎しみの果て~』。開幕にさきがけ9日、同所にて舞台稽古が行われた。
原作は、欧州ミュージカルの代表作『DRACULA』。1995年にチェコ・プラハでの初演以降、欧州各国で500万人以上を魅了してきた人気作を、『ジャック・ザ・リッパー』や『三銃士』などを手がけた韓国を代表するクリエーター陣がドラマティックにリメイク。
愛や死、そして憧れ、憎しみなどの普遍的テーマを描いたゴシック・ラブロマンスだ。韓国でもまだ上演されておらず、日本にて世界初演となる。
大司教の呪いによって吸血鬼“ヴァンパイア”に変えられたドラキュラ伯爵とドラキュラのために自ら命を絶った恋人アドリアナ。時を経て、ドラキュラ伝説の研究に没頭し次第に惹かれ、望んで吸血鬼と化したロレイン。そして、ロレインに思いを寄せ、裏切られたことから復讐の鬼と化すスティーブン。さらに時が流れ、ドラキュラの前に現れる、アドリアナと瓜ふたつの歌手サンドラ。それぞれの愛と苦悩、そして怒りや悲しみが、美しいミュージカルナンバーに乗せて情感たっぷりに歌い上げられ、いつしか物語の世界観に引き込まれてしまう。
この日、主人公のドラキュラを務めたのはイ・ホンギ。FTISLANDというバンドのボーカルとしてロックやポップスを得意とし、また、歯に衣着せぬ発言で楽しませる普段のホンギの姿を知っている人なら、このドラキュラへの変身は驚きと歓心をもって受け入れられるはず。
「バンドのライブの時とは違う、新しい僕の姿にミュージカルで会えます。ぜひ楽しみにしてください!」とホンギが胸を張って語るドラキュラは、絶望と怒りから神をも恐れぬ言動をし、血をすすりながら生きる吸血鬼になってしまうが、その素顔は、ただ一途にひとりの女性を愛し続ける男だ。
“愛と憎しみは表裏一体”ということを体現するかのようなスティーブンが、ドラキュラというキャラクターを、彼の愛をより一層引き立てる。感情を爆発させ魂の叫びを唄うシーンは必見。また、1幕終わりには、女子のハートを鷲づかみにする、拒みようのない“甘美な誘惑”も待っているので、ぜひ、劇場で味わってほしい。(このシーンのためにもう一度劇場に足を運んでもいいと思う)