日本でもあった類似事件

記憶にある方もいると思いますが、近年、日本でも似たようなおぞましい事件が、2014年に富士見市で、また2016年に平塚市で起こっています。

どちらも犯人は男性のベビーシッター、もしくは保育士なので、先に挙げたニューヨークの事件とは若干色合いが異なるかもしれませんが、子どもが帰らぬ身となってしまったことには変わりありません。

2014年の富士見市ベビーシッター事件が報道された当初、インターネットサイトでよく知らないベビーシッターに子どもを預けた母親を批判する声がなくはありませんでした。

この点、ニューヨークの事件で、子どもを殺害された両親を「働き過ぎたせいだ」などと責める声はなかったのではないでしょうか。

「子どもは3歳までは母親が育てるもの」、「子どもはママが一番」などといったことがいまだにまかり通る日本ならではの現象かもしれません。

子どもがいるからこそ働かなくてはいけないのに、子どもがいるために働けない母親が、誰にも相談できずにわらにもすがる思いで子どもの預け先をインターネットで探す姿は、日本の子育ての現実を表しているともいえます。

こういった事件が、「やはり子どもは親が育てるべき」という方向を後押しすることになれば、日本の子育ては行き止まりになってしまいます。

ワンオペで子どもを育てているママたちが、子どもの泣き声ひとつで虐待を疑われたらどうしよう、とおびえているのもまた現実なのですから。

ベビーシッターとのつきあい方

今後、日本でベビーシッターの需要が増えることは、ある程度予測できると思います。

それに備えて、子どもを預けることになった時、これだけは気をつけておきたいことを、いくつか挙げておきます。

プライベートと線を引くこと

プライベートとはっきり線を引くこと、時には大切です。それは、ベビーシッターになってくれる人のプライベートを守ることでもあります。

たとえば、仕事がお休みで子どもといる時に、子どもが、「ベビーシッターに会いたい」などとぐずりだしたとします。先方にしてみれば休日なのですから、彼女(彼)を呼び出すのはルール違反です。

子育てで譲れないことは伝えること

子育てに関するポリシーやしつけで譲れないことなどははっきり伝えましょう。

たとえば、薬を飲ませたくなかったり、まだ文字を教えたくなかったり、ママにはないようでも実はこだわりがある場合があります。こういったことは、知らせておかないと、よかれと思って、子どもを預かった人がしてしまうことでもあります。

あとあともめないためにも、最初の面談の時に、はっきりと伝えておくといいですね。

良好な関係を保とうとすること

よい関係を保つ努力をすることも、大事なことです。

日本ではまだ現実的ではありませんが、雇う側と雇われる側の明らかな格差がある場合、ある程度、気を使うことも必要でしょう。

都内の外国人駐在員の住む高級住宅地などでは見られる光景ですが、アジア系のベビーシッターが西洋人の子どもを連れて歩いていたりします。

気持ちよく雇い、雇われてもらうためには、雇う側が格差を見せつけるような行為は控えた方が無難です。