イタリアの歴史ある劇場で、観客や評論家の深い理解と期待のもと、熱い反応に包まれた4都市13公演。

東京バレエ団公式ページ

東京バレエ団は2024年11月12日~29日、イタリアの4都市で13回の公演を行う〈第36次海外公演〉を実施。イタリア半島の南に位置するサルデーニャ島カリアリから、バーリ、ボローニャ、リミニと北へ進む旅程をたどり、古典バレエの傑作『ラ・バヤデール』第2幕“影の王国”、モーリス・ベジャール振付『春の祭典』『ロミオとジュリエット』よりパ・ド・ドゥ、イリ・キリアン振付『小さな死』『ドリーム・タイム』の5作品から3つを組み合わせるプログラムを各地の歴史ある劇場で披露しました。
カリアリの7公演は後半に向かって満席となる盛り上がりを見せ、続くバーリ4公演とボローニャ、リミニ公演は早々にチケットが売切れに。いずれの公演でも最後は熱狂的な拍手と歓声に包まれました。

カリアリ歌劇場 photo: Marco Ciampelli


バーリ、ペトゥルツェッリ劇場 photo: Clarissa Lapolla


ボローニャ歌劇場(新劇場)photo: Andrea-Ranzi by kind concession Teatro Comunale di Bologn


リミニ、アミントーレ・ガッリ劇場 photo: Ayano Tomozawa

今年創立60周年を迎えた東京バレエ団は、設立3年目の1966年から海外公演を実施し、これまで800回近い海外公演を行っています。イタリアでは、ミラノ・スカラ座やローマ歌劇場、フィレンツェ歌劇場を始めとする都市/劇場を何度も訪れており、現地の舞台関係者や評論家、バレエ/ダンス愛好者の間ではすでに知られた存在です。そうした土壌もあり、今回各地の公演前に「名門バレエ団が8年ぶりにカリアリに戻ってくる」(Rai News)、「創立60周年を迎えた歴史あるカンパニーが、明日、ボローニャ歌劇場新劇場で3つの人気作を上演する」(Il Resto del Carlino)、「ダンサーの技術的水準だけでなく、振付の芸術的な深みでも高い評価を得ている東京バレエ団をイタリアの観客が目の当たりにできる貴重な機会だ」(Normanna news)など現地のプレスによって期待に満ちた紹介がされました。


バーリ、ペトゥルツェッリ劇場、開演前 photo: Clarissa Lapolla

ボローニャ歌劇場 東京バレエ団公演のサイネージポスター photo: Andrea-Ranziby kind permission of Teatro Comunale di Bologna

バーリ公演ポスターサイネージ(“売切れ”を示すTUTTO ESAURITOの表示あり)



各紙の公演評では、上演した5つのレパーリーへの深い理解のもとにパフォーマンスへの優れた考察がなされ、何より観客の方々が現代バレエ中心のプログラムを熱狂的に受け入れていたのが印象的でした。

以下に主だった現地の公演評を抜粋で紹介します。

アンサ(共同通信社) 
創立60年となる東京バレエ団の三部によるプログラムに盛大な拍手

東京バレエ団は創立60周年を祝し、イタリアツアーを行っている。その第一歩がカリアリから始まった。カリアリオペラ劇場の舞台初日は19世紀と20世紀のバレエ作品の傑作が三作品上演され、観客からの温かい拍手と歓声に包まれた。ポール・マーフィー指揮の歌劇場オーケストラの演奏で、著名な日本のバレエ団は偉大な巨匠によって振付けられた作品を演じ、観客に濃厚な感動の一夜を与えてくれた。

バーリセーラ ニュース Bari Sera news
ペトゥルツェッリ劇場で陶酔:東京バレエ団の芸術が観客を魅惑する
ジョヴァンニ・レッキア

ペトゥルツェッリ劇場の観客は東京バレエ団の巧妙さと優雅さに文字通り魔法にかけられたようだった。どの動きも、どの仕草も、どの音符もすべてが忘れられない経験を創造することに貢献し、バレエという芸術が人間の魂の最も深い部分に触れる感動を呼び起こすことを実証したのである。バレエ団はこの公演を心底評価した観客からの拍手喝采とスタンディング・オベーションを受けた。この公演は、観ることが出来た幸運な人々の記憶に長い間残ることだろう。

南イタリア新聞 La Gazzetta del Mezzogiorno
ぺトゥルツェッリ劇場における東京バレエ団による感動のダンス
斎藤友佳理団長率いるバレエ団の公演を堪能した観客が拍手喝采
パスクワーレ・ベッリーニ

類まれな素晴らしい作品──『春の祭典』が東京バレエ団公演の最後を飾った。ストラヴィンスキーの音楽に振付けられたベジャールの創作は、肉体の欲望と官能の極限がダンサーの動きで爆発的に表現され、目が眩むほどのダンサー全員の完璧な融合性と驚くべき体力と魔的な激しさに圧倒された。(略)
東京バレエ団のダンサーたちのテクニックと一致性は非の打ち所がない。肉体のマグマ(混合した感情や情熱)、繊維状にも見える裸体、何世代にも亘る生来の体型であろうか、50人もの体が絶え間なく動くのだが、それはまるで渦を巻く物体のように幾何学的形状や大きさを構成したり解体したりするのだ。初日からペトゥルツェッリ劇場の多くの客席を埋めた観客は日本のバレエ団の公演に盛大なる拍手を送った。


シラノポスト Cirano post
イリ・キリアンとモーリス・ベジャールという天才的な振付家の作品が東京バレエ団の完璧な美しさで表現することによって再現され、ペトゥルツェッリ劇場の観客の胸の鼓動を高ぶらせた
パスクワーレ・アットリコ

完璧なまでの日本のバレエ団によって巨匠による振付という芸術が益々意味深長な作品となった。ベジャールが好んで語っていた言葉、つまり「最小限の解説、最小限の秘話と最大限の気持ち」が素晴らしく表され、強力な感動と抑えられない感情と忘れがたい感動の源となったのである。

「ラ・バヤデール」“影の王国” photo: Andrea-Ranziby kind permission of Teatro Comunale di Bologna


「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ photo: Clarissa Lapolla


「ドリーム・タイム」 photo: Clarissa Lapolla


「春の祭典」photo: Clarissa Lapolla


「春の祭典」photo: Clarissa Lapolla

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東京バレエ団ブログ イタリアツアー便り1~4 田口道子氏(オペラ演出家)、ほか

●東京バレエ団 第36次海外公演 概要

実施期間:2024年11月8日(金)東京出発~12月1日(日)帰国
開催都市:4都市 カリアリ11/12(火)~11/17(日)、バーリ11/21(木)~11/24日(日)、ボローニャ11/27(水)、リミニ11/29(金)
公演回数:全13公演
参加人数:約90名(ダンサー、スタッフ含む)




東京バレエ団〈第36次海外公演─イタリア〉は、「文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(国際芸術交流))|独立行政法人日本芸術文化振興会」の助成を受け、イタリアの4都市を約1か月の旅程で巡り、合計13回の公演を実施。このツアー全体が終わった時点で、東京バレエ団の海外公演は33か国158都市、通算799回の公演を達成しました。
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