彼ともっと親密になりたい場合

付き合い始める前後で、相手のことを「下の名前+さん」で呼んでいるけれど、どこか硬い感じもある……。そんな悩みがある人に五百田さんが勧めるのが「言い訳呼び」という手法です。

「『さん付けってちょっと硬いから、くん付けで呼んでいい?』『響きがかわいいから、しょうちゃんって呼んでいい?』『聖大さんだと長いから、しょうたって呼んでいい?』など、なんらかの理由や大義名分を掲げて、別の呼び方を提案するやり方があります」

いきなり何の予告もなく呼び方を変えるより、理由・提案を事前に添えることで、相手をびっくりさせる心配もありません。

飲み会・合コンなどの集まりで人気者になりたい場合

飲み会や合コンなどの出会いの場で、一人ひとりを観察していると、知り合ったばかりの人の名前を呼ぶ人とまったく呼ばない人に分かれます。または、名前が呼ばれる人とまったく呼ばれない人が出てくることも。

自分がその場にいたら、名前を呼ばれるのと呼ばれないのと、どちらが嬉しいですか? 間違いなく、「呼ばれるほうが嬉しい」と感じるのではないでしょうか。

「名前が呼ばれるかどうかは、小さい話のように聞こえるかもしれませんが、呼ばれない本人にしてみると大きな話。

名前を呼ばれないことで『自分の存在が軽んじられているような気がする』『別にこの人の名前を覚えなくてもいいいや』と思われているのではないかと、どうしても感じてしまうからです」

逆に言うと、名前をきちんと呼ぶだけで、相手に好印象を与えられるということ。人の名前を呼ぶ=あなたを認識していますよ、という意思表示でもあります。

出会いの場は基本的に一回限り。「2時間一本勝負」のようなものです。名前を呼ぶだけで相手との関係性を築くことができるなら、呼ぶに越したことはありません。

まとめ

誰かを呼ぶという行為は、コミュニケーションにおける「ど頭」の部分にやってきます。でも、そのことを強く意識して人の名前を呼んできた人は、それほど多くないのではないでしょうか。

「呼び方は、相手を敬う気持ちや『あなたとこういう関係でありたい』という思いなど、あらゆるものを内包しています。呼び方や呼び名にはいろいろな思いや言葉が詰まっています。だからこそ、呼び方を変えようと努力するのは、言葉をいくつも積み重ねるのと同等、あるいはそれ以上の力があるのです」

恋愛がうまくいくようになりたい。そう思う方は、まずは呼び方から見直して、「人を呼ぶレッスン」から始めてみましょう。

五百田達成さん
作家・心理カウンセラー。
東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。
鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。

著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。

フリー編集者・ライター。岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。