まずは鍋の高いところに脂を乗せると、じわっと溶けていく。着火して5分もしないですぐに熱くなるので、腹ペコを待たせることもないのがバケツジンギスカン。固形燃料ひとつで概ね2時間はもつそうだ。

そして、いよいよラム肉を鍋の上に。そこで気づくのがラム肉には味がついていないこと。そういえば北海道で食べるジンギスカンは、タレに漬けた味付け肉が多いような……。

バケツジンギスカンに詳しい、三和酒類株式会社の幡手剛さんによると、味付けしていない羊肉を焼いてタレを付けて食べるのが公式「遠野バケツジンギスカン」の食べ方。

幡手さんによると、遠野にはオーストラリアなどから羊肉を仕入れて加工する食肉業者がいくつかあり、肉の切り方もお店によって違うんだそう。そしてタレにもお店それぞれの味があるので、食べ比べるのも楽しいのだとか。

お話を聞いているうちに肉がいい感じに焼けてきた。食べてみると肉の脂が甘い。肉質は程よく柔らかくて食べ応えもある。羊の臭みはほとんど気にならない。

今回はバケツジンギスカンを考案したという遠野のジンギスカン専門店「あんべ」のタレを使用。ある女性参加者は「タレは甘すぎず、辛すぎず、ちょうどいいので食べやすい。野菜にも合いますね」と話す。またバケツジンギスカンは女性でも簡単に準備できたそう。

ある男性参加者は、イベントの前週に北海道でジンギスカンを食べたばかりとのこと。「北海道で食べたのより美味しいです!」

各テーブルには25度のいいちこ1.8リットルパックとTHE TANSAN、氷が用意してある。THE TANSANの「レモン」で割るとチューハイのようで、「アップルミント」で割るとカクテルのようだった。どちらもいいちことTHE TANSANがあればできるので家庭でも気軽に作れる。日本コカ・コーラの担当者によると、今夏にはTHE TANSAN「ライム」味も発売されるそうだ。

手軽に楽しめるのがバケツジンギスカンの魅力

イベント中、渋谷の屋上には時折強い風が吹いたが火はバケツの中なので風が吹いても大丈夫。しかも灰が飛ばないので、周りの食材が灰まみれになることはない。このバケツジンギスカン、手軽にアウトドアを楽しみたい人にはうってつけだ。

大きさも普通のバケツなので、少し大きめのトートバッグにも入る。これを持って電車に乗ることもできるのでアウトドア女子会にもぴったりかも。しかもどこか懐かしいブリキのバケツは可愛らしくて、写真映えもする。

イベントでは各テーブルでいいちこと箸が進み、用意していた羊肉はすべてなくなってしまった。それでもみんな帰り難く「スカイガーデン」で普段提供されている食材まで食べてしまうほど。主催した東京カルチャー・カルチャーの横山シンスケさんも「こんなに盛り上がるとは」と驚いていた。

早い梅雨明けで当日は暑い日だったが、渋谷のビルの屋上には心地良い風が吹いていた。星は見えないものの空や夜景が見えて開放感があり、おいしい肉とおいしいお酒、そしてバケツがある空間は本当に楽しかった。さらバケツジンギスカンはアウトドアだけでなく、災害時にも使えるのではないかとも思った夏の夜だった。

(取材:前田郁/イベニア)

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