ベビーからキッズへ!未就学児の「旅育」
周作:物心がつくといわれる3~4歳、それよりちょっと早い2歳にもなると、そこが「日本じゃない」ということは分かるようです。
国の概念はないにしても、周りの人が話している言葉が自分の知っている言葉ではないということは分かるから、その反応が面白いですよ。
そこで暮らしている人の外見が自分の知っているものとはまるで異なることに驚いたりもします。「なんでこの人は真っ黒なの?」なんて、親からするとドキッとするようなことを聞かれたりだとか。
雅代:2歳、3歳になると「楽しかったね」だとか「おいしかったね」だとか、帰ってきてからそんな会話もできるようになりますね。
周作:印象に残っているのは、うちの上の子が4歳くらいの時にドバイに行ったんですね。それでメトロに乗っていて、アナウンスがアラビア語と英語の2言語で流れるんですが、それが2種類の言葉で放送されていることは理解していたんですよ。
英語なんて分からないし、アラビア語ももちろん分からないんですけど、どっちも日本語ではない言葉が2つ流れている、それは4歳の子どもにも理解できるものなんですね。
言語ということでいえば、その旅行の時に家族でショッピングセンターへも行きまして、そこの休憩スペースで自然とほかの子どもたちと我が家の長男・長女が遊んでいたなんてこともありました。
相手のお子さんの話しているのは英語でもなくて、どこの国の言葉かも分からなかったんですけど、テーブルと椅子を並べて電車ごっこをしていて、誰が先頭になるかで大ゲンカ(笑)
お互いがお互いで言葉は分からないけれど、コミュニケーションは取れている。あちらのお子さんも男の子と女の子で、全員が「電車」という設定にしていることは理解していて、そのうえできちんと言い争っているというのが、すごい興味深かったですね。
小学校に上がった今となっては、むしろ逆に、そこまでのコミュニケーションはできづらくなっているようですけど。
小学生になってからの「旅育」
雅代:小学校に上がる程度の年齢になると、なかなか自分からは行かなくなっちゃいますね。
テレているとかではなくて、言葉が通じないから、最初からコミュニケーションを取らない。大人と一緒で「前提」ができちゃうから、小さな頃のようにはいかない、というのはあります。
例えばイギリスに出かけた時にはホームステイをしたんですけど、その頃には長男も「前提」ができちゃっているので、ホストファミリーといっぱい話したりはしませんでした。でも帰国後、家でよく話題にしていて「すごくよくしてもらった」という気持ちはコミュニケーションとしてきちんと伝わっている、汲むべきところはちゃんと汲んでいるんですよね。
周作:この段階になってくると逆に「字が読める」というのは大きくて、旅行前にガイドブックを買って一緒に読んだりして。情報を子ども自身でキャッチできるようになる。
雅代:オススメとしては、細かい字で細かく書いてあるタイプのガイドブックじゃなくって、ビジュアル重視の大判のものを買って渡して、広げて、一緒に予習してみる。
周作:子どもが1年生か6年生かによっても変わりますけど、肌の色が違うとか人種が違うとか食べているものが違うとか、さまざまな違いを最初から理解できるようになるので、それはそれで違う楽しみ方になるということでしょうね。帰国してからも行ったことのある国や地域への関心は高いので、授業やニュースなどでも積極的に注意を向けるようになるようです。
そしてここまで来れば、どこへ行くかとか、現地でのスケジュールとか、家族会議をしたり、子どもに決めてもらったりもできるようになってきます。
――それもまた新たな「旅育」のステージですね!