いらないと思っていた“ママ友”と出会えた、子育て支援センター

――“ママ友”をつくることに抵抗があった、というくだりが、エッセイのなかであります。子どもを産むと、自分の住む地域の中で友達を作らなくてはいけないような気がして、それはそれまでの友達の作り方とは大きく異なる点ですよね。

撮影:稲澤朝博

明「私、世間が与えてくる“子どものために仕方なくつながる”というイメージの強い“ママ友”という言葉を毛嫌いしていたので、最初はいらないと思っていたんですよ。

子どものことを話して、いいママ同士の友達のつきあいをしてみても、産後のママの心は埋められないんですよね。求める人間関係は、もっとバカが言えたり、夫には言えない話ができたりする関係なんですよ。

子どものことを話さなくたって、相手のことが知りたいって思えるような人と出会いたいんです。それって、人間の深い欲求のひとつじゃないですか」

――でも、最初は行くことに抵抗のあった子育て支援センターに通ううちに、子どもの話よりも、自分のことを話せる友達ができたそうですね。

明「そうですね。いざ子育て支援センターに行ってみたら、自分として話せる人が見つかったのはすごくラッキーだったと思います」

――本音で話せるママ友が見つかったのは、明日香さんが素直に接したことがきっかけになったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

明「わざとだとあざといですけど、時には弱みをみせてもいいんじゃないかと思います」

――保育園の保護者会の自己紹介で、子育て中のリフレッシュ方法を言う時に“一日の終わりのビール”と言われたそうですが、そういう素直さって、つながりたい人とすぐつながれる力を持つのではないかと思います。

明日香さんの素直さが他の人にもうつって、自然にしていてもいいんだって思えるようになる人もいたのでは?

明「そう思ってくれる人が今、周りにいるのかもしれませんね。

それと、よくママ友同士が集まると、自分の子どもの謙遜大会みたいなのが始まることがあるじゃないですか。そうしなくちゃいけないみたいな、同調圧力みたいのもイヤだったんですよね。だから私は人前でも、子どものいいところを話そうとしています」

地域に子どもを通じての知り合いがいると、心強い

――いいですね。それってハッとするママも多いんじゃないかな、と思います。

子育て支援センターで他のママさんや保育士さん、地域のボランティアの方々と知り合ったことで、“子どもを育てるのは自分だけ”と肩ひじ張っていた部分がほぐれてきたとエッセイには書いてありましたね。

他にも、子どもが生まれてできた地域でのつながりもあるのではないでしょうか。

明「そうですね。あまり自分では地域性のある人間だとは思っていないのですが(笑)、地域に子どもを通じての知り合いがいるということは心強いですよね。それと、子どもの親ということを離れて大人として、自分が暮らす町で、次の世代の子どもたちに何ができるかということは、考えるようになりましたね。

夫とやっている会社は、主にキッチン用品などを作っている会社なのですが、子どもたちのために何ができるかを考えたことがあって、そうなるとたとえば子ども食堂のような、自分たちの住んでいる地域の子どもたちに還元するようなことをしたいねと話したことがあります」

――そうなんですね。

明「自然と住んでいるエリアの規模で考えるようにはなっていますね。近くの小学校の子どもに対しても、”今日も元気でいいねー“みたいな近所のおばさんの気持ちになっていますし」

――子どもは社会が育てるというのは、そういうことですよね。

まとめ

有頂天のマタニティライフから一転、まさかの育児ノイローゼで暗黒の子育て時代も経験してきた明日香さんだからこそ語れるリアルな体験談、共感するところも多々あったのではないでしょうか。

「子どものためにはママが笑っているのが一番」とはよく聞く言葉ですが、自分を大事にしていないと、つい笑い方も忘れてしまいそうになる時もありますよね。そうならないためにも、明日香さんのように素直でいることは、実は一番の近道なのではないかと思いました。

明日香さんはエッセイのまえがきで、「くよくよはやる気の栄養」だと書いています。悩むことは悪いことではないし、たくさん悩んでいい、だけど悩みは考え方を変えればやる気に変えられる! という想いが詰まった一冊です。ぜひ、お手に取ってみてくださいね。

『子どもは相棒 悩まない子育て』
発売中
著者:和田明日香
価格:1,296円

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