木村 昴 撮影:中原 幸

『ミニオンズ』を手掛けた原作者と音楽スタッフが贈る、クスッと笑えて、人間とイエティの絆に涙する、“モジャかわ”ミュージック・ファンタジー映画『スモールフット』が10月12日より全国公開中。

主人公であるイエティの男の子・ミーゴの日本語吹き替えを担当したのは、注目度急上昇中の人気声優・木村昴さん。

フォトギャラリー木村昴×『スモールフット』の写真をさらに見る
『スモールフット』©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作は、人里離れた雪深い山頂に住む、おっちょこちょいだけど心優しきイエティのミーゴが伝説のスモールフット(人間)と出会い、交流を経て、絆が生まれるハートフルなストーリーをミュージカル調で描く感動の物語。

 「雲の下には不思議な世界が広がっている」という言葉を信じ、伝説のスモールフットを探すミーゴの波乱と笑いと感動に包まれる冒険の旅は、子供はもちろん、大人も楽しめる作品となっています。

 さらに、本作の見どころは『ミニオンズ』の音楽スタッフが贈る軽快な音楽と、吹き替え声優たちがその歌唱力をいかんなく発揮する劇中歌!

 今回は、木村さんに作品の魅力からミュージカル作品のやりがい、今好奇心をくすぐられるモノまで、たっぷりとお話を伺いました!

なお、撮影時に帽子とスリッパを着用してミーゴ風になった木村さんに周囲のスタッフから「かわいい!」の声が次々とかけられると、「かわいいと言われるのは慣れていないので……」と少し照れる場面もありました(笑)。

みんなとハグしたい気持ちになる!

『スモールフット』©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

――今回、ミーゴのキャラクターをどのように捉えて吹き替えされたのでしょうか。

 木村:僕がミーゴを見て思ったのは、天真爛漫で純真無垢、とにかくピュアで真っ直ぐなキャラクターだと思いました。

ドラマ的には、ピュアなやつほど実はちょっと腹に何か抱えていて、実はとても怖いキャラクターだった、なんてこともありますよね。でも、ミーゴはずっとピュア(笑)!

もうずーっとピュアで、そのピュアさに周りも突き動かされて、みんなもピュアになる。ピュアなキャラが汚されていくストーリーというのはありますけど、この作品はみんなが“ピュアっていく”感じが素敵だなと思います。

 ――みんながピュアっていく!

 木村:最初にスモールフットを見つけた場面でも、前向きに「ほら、やっぱりスモールフットはいたからみんなに教えなきゃ!」となるし、最終的に村から追放されてしまっても、「ちぇっ、これだから大人は!」と卑屈にならない。

「僕がちゃんと連れてきてみんなに見せることができたら、信じてくれるだろう!」とスモールフットの世界に降りていく。そういうピュアな気持ちに突き動かされて行動するし、常に前向きで信じて疑わない。

そんなキャラクターなので、僕としても学ぶこともありましたし、本当に良いやつだなと思いました。

みんながミーゴみたいになれたら、もっともっとピースフルな世界になってくんじゃないかなと感じました。だから、この収録が終わった後、なんだかみんなとハグして帰りたくなりましたね(笑)。

 ――この作品を観た方も、あのラストを観終わった後はみんなハグしたい気持ちになりそうです。

木村:絶対なりますよ! この作品を観終わると、自然とそんな気持ちになると思うんです。

スモールフットとイエティという全然種族の違う人たちがわかりあえるんだったら、例えば僕ら人間だと生まれた場所や肌の色が違う、言葉が違うって、もうそんなの超小さなことに思えてくると思うんですよ。

だから、スモールフットとイエティの絆が結ばれてエンディングになったときに、たぶん無意識に隣の人をハグしたくなると思います。僕も劇場でその光景が観たい!

 ――みんな一緒に行きていこう!という気持ちになりますよね(笑)。

 木村:その通りです。僕はなったので、みなさんも同じ気持ちになると思います。そんなパワーがこの作品にはあるんじゃないかなと思いますね。

セリフだけじゃ伝えきれない気持ちが歌になるのがミュージカル

『スモールフット』©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

――英語版から鑑賞させていただき、ミーゴは木村さんにピッタリだと思っていましたが、木村さんの吹き替えの声が想像よりも爽やかで少し意外でした! 「あ、こっちのパターンか!」と(笑)。

 木村:あ、空き地のリサイタルじゃないほうね、と思われました(笑)? ジャイアンにならないよう意識しました(笑)。

それは冗談ですけど、収録する時は歌唱シーンがあると聞いていた先入観もあって、ちゃんと歌い上げるというか、丁寧に歌として成立させないといけないんだろうなと思ってスタジオには行きました。

実際に歌いながら、「あ、これは単に歌というわけではなくミュージカルだ」と思ったんです。“ミュージカルらしさ”と“イエティらしさ”、何よりも“ミーゴらしさ”をもっと尊重しようと思いました。ミュージカルの持つパワーって、1つの歌として捉えるのではなく、「もうセリフや言葉だけじゃ伝えきれないから気持ちを歌にする」みたいなものだと思うんです。

 ――それをふまえた上で、例えば冒頭のミーゴの歌唱シーンはどんなイメージで作り上げたのでしょう?

 木村:冒頭のミーゴのシーンは、「イエティの村ってこんな生活でこんなに素晴らしいところがあって!僕はこの村が大好きでとにかく毎日ハッピーなんだ!」とポジティブなメッセージが詰め込まれている歌なので、ミュージカルとして捉えた時に、ミーゴのワクワク楽しくて、たまらなく嬉しい!みたいな感情を乗せることを最優先にしよう、と意識しました。

セリフじゃ語りきれない想いが歌になって自然とミュージカルになっていくという部分で、メロディーを借りて喋るような。

ミーゴのワクワクしている気持ちが上手く乗っかるように歌うことを頑張りました。なので、僕が爽やかに歌っているというよりは、ミーゴが爽やかなんでしょうね。

 ――ミーゴのピュアさが歌にも乗ったということですね。

木村:もちろん歌なので上手に歌わなきゃいけないんでしょうけど、ミュージカルは上手なだけじゃまったく意味がない。

聴いているみんなも「イエティのライフスタイル超楽しそう!」とワクワクしたり、「ミーゴってこの村が好きなんだな」と思ってもらいたいなと、ミーゴの感情を大事にしました。

 ――ミュージカル作品のやりがいはどんなところでしょうか?

 木村:元々、ミュージカルがすごく好きで。ミュージカルの持つエネルギーやパワーに僕自身も人生を変えられているので、ミュージカルがやっぱり好きなんですよね!

先程も言ったように、言葉やセリフでは描ききれない感情を音楽に乗せられるところが最大の魅力であって、歌だからこそ伝わるものや、普通に喋ったよりもメッセージ性が大きくなったり、より伝わることがあると思います。

ライブとも違うし、お芝居だけとも違う。そのミュージカルの持つパワーを自分が表現できるというところが嬉しい部分でもあり、やりがいを感じます。

たぶん、この作品を僕がやらずにお客さんとして観ていても、それぞれのシーンで流れる音楽に対して、やっぱり感情を動かされただろうと思います。自分も今までミュージカル作品を通して突き動かされたものがあったので、逆に自分が今度は歌う側となってみなさんに聴いていただいて、少しでも何か感じてくれる人がいたら、とても嬉しいですね。