過酷さも失敗も困難も、すべて楽しさに変えてくれる

―― シャトナーさんにとって、舞台『弱虫ペダル』の魅力はどんなところですか?

西田 過酷さも失敗も困難も、すべて楽しさに変えてくれる。原作でピエール監督が自転車について語ったことが、そのまま演劇の素晴らしさですし、舞台『弱虫ペダル』の好きなところです。関わることができて、とても幸福に思います。

 

原作もぜひ全巻通して読んでみよう。舞台とはまた違う魅力が満載である。 ⓒ渡辺航(週刊少年チャンピオン)

原作で、総北高校自転車競技部の監督であるピエール監督は、自転車のおもしろさを以下のように語っている。

「自転車は、競技の道具でもありますが、本来は楽しいものです。過酷さも、困難も、失敗も、自転車は全部楽しさに変えてくれる。まだ見たことのない道を、海を、山を、前に進むという素晴らしさを。彼が魅せているのは、自転車の根源的な面白さですよ!」引用元:弱虫ペダル4巻(秋田書店刊)

『弱虫ペダル』というマンガを通じて感じる熱さやおもしろさは、まさに自転車の魅力そのもの。同時にこの作品は、西田シャトナーという演出家の目を通り、舞台作品になることによって、演劇の楽しさも同時に表現される、素晴らしい化学反応を起こした作品だったのだ。

演者や選手、会場全体の“全力”を通じてその作品の魅力に触れる、というのは、スポーツや演劇、どのジャンルの初心者にも一番魅力が伝わりやすいポイントだと筆者は思うのだ。演劇を見たことがない人が入りやすい舞台だと言われる理由は、ここにあるのかもしれない。

最後に、今回の座長をつとめる村井良大さん(小野田坂道役)へのメッセージをうかがった。
 

―― 今作の座長の村井良大さんに対して、エールやメッセージがあればお願いします。

西田 大好きです。小野田に会わせてくれてありがとう。いつもみんなをひっぱってくれてありがとう。

 

今作のキービジュアルは、小野田坂道と真波山岳の熱い戦

 

今作でインターハイ篇は終了し、この先の舞台の上演があるかどうかも決まっていない現在だが、まだ観られる機会は残っている。千秋楽公演の3月29日には全国および国外の映画館にてライブビューイングも決定しているので、この機会にぜひこの熱い作品に触れてみてほしい。自転車のおもしろさも、演劇のおもしろさも、キャストの熱さも、すべてに触れてすべてを吸収できる、とてつもないエンタテインメントを目撃できると思うから。

【INFORMATION】
<舞台「弱虫ペダル」インターハイ篇 The WINNER ライブビューイング>
3月29日(日)17:00~上映開始(予定)
国内は北海道から沖縄まで、海外は韓国、香港、台湾の3カ国で上映予定!!

 フリーランスエディター・ライター。原宿系ファッション誌の編集者などを経て、2014年独立。ファッション、アニメ、マンガ、ヴィジュアル系、腐女子などのカルチャー分野について執筆。