2.見直しでおさえたい「3つのポイント」

見直しでおさえておきたいポイントは、以下の3つです。

1.月額上限の微増(中間層で月約5500円の引き上げ)

医療費の増大や現役世代の保険料負担を抑えるため、所得区分に応じて月額の自己負担限度額が見直されました。

区分ウ(年収約370万〜770万円)の場合、基準額が従来の80,100円から85,800円へと見直され、医療費総額100万円の場合の月あたり負担増は約5500円にとどまります。

出典:厚生労働省・社会保障審議会医療保険部会資料

2.【注目】長期療養者を救う「年間上限」の新設

今回の制度改定で大きな前進となったのが、8月〜翌年7月の1年間を対象とした「年間上限」の新設です。

区分ウ(年収約370万〜770万円)の年間上限額は53万円に設定されました。

月ごとの上限(約9万円)には届かない「月5万〜6万円程度」の負担が1年間続いた場合でも、年間合計が53万円を超えた分は還付されるため、ダラダラと続く長期負担に天井ができました。

3. 長期治療向けの「多数回該当」は据え置き

難病や抗がん剤治療などで毎月高額な治療を続ける人を守るため、4回目以降の「多数回該当(区分ウ:月4万4400円)」は引き上げられず、現行水準のまま据え置きとなっています。

3.具体例で比較。わが家の医療費はどう変わる?

年収約500万円(区分ウ)の世帯をモデルに、40〜60代に起こりやすい2つのケースで実際の負担額を試算してみましょう。

ケースA:婦人科疾患や骨折で1週間入院・手術をした場合(短期間の入院)

医療費総額: 100万円(窓口3割負担なら30万円)

見直し前: 8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=約8万7430円

見直し後: 8万5800円+(100万円-28万6000円)×1%=約9万2940円

家計への影響: 約5510円の微増

負担は増えますが、数万円・十数万円も跳ね上がるわけではありません。家計の手元資金で十分に対処できる範囲です。

また、マイナ保険証を使えば窓口での支払いはこの約9万3000円(+食事代や差額ベッド代等)だけで済み、30万円を一時的に立て替える必要もありません。

ケースB:通院での抗がん剤治療が1年間続いた場合(長期の通院)

医療費総額: 月ごとの自己負担が約6万円(高額療養費の月上限に届かない額)で、年間72万円かかった場合

見直し前: 毎月の上限に届かず「多数回該当」も対象外のため、年間72万円を全額自己負担 

見直し後: 新設された「年間上限53万円」が適用され、超えた19万円が後日還付。実質負担は53万円で頭打ち

家計への影響: 約19万円の負担軽減

「短期の入院は数千円の微増にとどまる一方、長期の治療には強力なセーフティネットができた」という構造が分かります。