健康診断の結果が少しずつ気になり始めたり、親の通院や入院のサポートが増えたり、定年後の暮らしを具体的に考え始めたり……40代から60代にかけては、自分自身だけでなく家族の「医療費」について真剣に向き合う機会が格段に増える年代です。

そんな中、ニュースで目にする機会が増えた「高額療養費制度の上限見直し」という話題。「自己負担が一気に跳ね上がるのでは?」「家計が圧迫されるのではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

制度見直しの全体像と、教育費や老後資金を着実に守るための「これからの医療費の備え方」を分かりやすく整理しました。

1.「高額療養費制度」の基本

高額療養費制度は、毎月1日〜末日までの1か月間に医療機関の窓口で支払った医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じた「自己負担限度額」を超えた場合、超えた分が健康保険から払い戻される仕組みです。

一般的な世帯(区分ウ)の自己負担の目安

厚生労働省が出している「高額療養費制度を利用される皆さまへ」によると、70歳未満の場合、世帯年収に応じて5つの区分に分かれています。

子育て世帯や現役世代に最も多い「年収約370万〜770万円(区分ウ)」の場合、ひと月あたりの自己負担上限はおよそ9万円程度です。

たとえば、手術や入院で医療費総額がその月内で100万円かかったとします。窓口の3割負担なら本来30万円の支払いですが、高額療養費制度が適用されるため、実際の自己負担額は約9万円に抑えられます。

「マイナ保険証」なら事前の手続きも窓口での立て替えも不要

従来、窓口での支払いを最初から限度額までに抑えるためには、加入している健康保険組合へ事前に申請して「限度額適用認定証」を発行してもらう必要がありました。

申請が間に合わない場合は、一度窓口で3割分を全額立て替え、後日払い戻しの申請をするという家計の負担がありました。

しかし、窓口でマイナ保険証(健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカード)を提示して情報提供に同意すれば、事前の申請手続きを行わなくても、自動的に窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。

一時的にまとまった現金を立て替える必要がなくなるため、急な入院や手術の際も慌てずにすみます。

長期療養を支える「多数回該当」とは

直近12か月以内に3回以上上限に達した場合、4回目以降は上限額がさらに引き下げられる「多数回該当」という仕組みがあります。

区分ウの場合、4回目以降の自己負担限度額は月額44,400円まで軽減されます。

出典:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき」