花鳥風月の話で、井戸端会議はおひらきに
信じられないような速さで「こんにちは」をくり出した奥様は、すぐさまお天気の話に転じます。
これで、相手が他のネタ(うわさ話や悪口など)を差し向けるタイミングは、完全に外されてしまいます。
晴れている。曇っている。降ってきた。降らなかった。あたたかくなった。寒くなった。
気象情報は、誰も困らないテーマです。
「あたたかくなってきましたね」と話しかけられたら、相手はよほどの悪意や戦意を蓄えてこない限り、「ナニ言ってるんですかあなた、全然あたたかくなんかないですよ」なんて言い返せないもの。最初は相槌しか打てません。だから、その奥様が場の空気をつかんじゃうのです。
「桜はすっかり散ってしまいましたね」「ええ、早いもので」なんて、はんなりと時候の話になるので、「いつもノンキな人だな」程度のことは思われているかもしれませんね。
でも、誰も傷つけない話をしている彼女は、誰からも憎まれていません。ママ友いじめを目論む人がいたとしても、彼女をターゲットに選ぼうとはしないだろうなと思います。誰が悪役なのか、あまりにもハッキリしすぎてしまいますから。
花鳥風月の話を始めると、場の空気が浄化される。何だかコソコソした内緒話はしづらくなる。他に話すことがなくなってくる。
この流れで、井戸端会議は「何となく」おひらきになります。
家族のことを詮索されたら「本人にまかせている」
ご近所に、他人の家庭について貪欲なまでの好奇心を示す人はいませんか? 「お子さん、そろそろお受験なんでしょ。塾は通ってるの? 2つ下の弟さんはどうするの? 同じところに入れるの?」と根掘り葉掘り。
そんな根堀さんを相手にしても、見事に会話を終わりへと導きます。
子どものことを聞かれても、具体的に答えません。「本人にまかせているので、私はよく知らなくて」「子どものしたいようにさせています」といった、ふわっとしたことを言うのみなのです。しかも、ふわっとしているわりには「ぱっ!」と、即座に返答します。
「本人にまかせている」! これを繰り返されると、引き出せる情報はほとんどなくなってしまいますよね。覚えておきたいとっさのフレーズ、です。