ようやく手に入れた念願のマイホーム。だが、そんな我が家も長く住んでいれば水まわりや外壁などが老朽化していき、あれこれ不便が出てくるもの……。そこで頼ることになるのが住宅を住みやすくする「リフォーム」だ。
おりしも現在は、国土交通省が中古住宅・リフォームトータルプランをとりまとめ、2020年までに約7兆円(2014年度)とも言われるリフォーム市場の倍増を目指しているタイミングである。
今年3月からお得な「省エネ住宅ポイント」が申請受付をスタートし、また近年は老朽化した部分を取り替えるだけにとどまらない新たなトレンドが生まれるなど、リフォームをとりまく状況は大きく変化しつつある。そこで今回は業界大手のLIXIL(リクシル)本社にお邪魔し、リフォーム事業部・リフォーム戦略部部長を務める藤原 正行氏から“失敗しないリフォーム”の原則を聞いてみた。
【原則1】リフォームのトレンドを知る
藤原氏によると、現在もっともリフォームの施主(ユーザー)として多い年齢層は50代~60代。ちょうど新築で建てた家が10年、20年と経って痛んでくる時期のため、水まわり・給湯システムなど部分的に取り替えようというのが主な動機だ。
だが近年はこうした従来型のリフォームだけでなく、新たなトレンドが生まれていると藤原氏は言う。
「ひとつは日本人の長寿化に伴う変化です。最近は寿命が延びて、定年後も20年、30年と家で暮らすことになります。だから特に今すぐ困っていなくても、バリアフリー化なども含めて思い切ったリフォームを元気なうちにやっておこうと考える人が増えているのです」(藤原氏)
また、30代を中心に中古マンションをリノベーションする人も増加傾向にあるそうだ。リノベーションとは「中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと」(リノベーション住宅推進協議会ホームページより引用)。
「駅近くの立地が良い中古マンションを購入して、自分で内装・設備などを自由に替えたい。そんなユーザーの需要を見込んだ不動産会社も増えてきています」(藤原氏)
もうひとつ知っておきたいキーワードは「性能向上リフォーム」だ。老朽化した部分をそのまま取り替えるのではなく、省エネ・節水・防犯など住環境をより安全快適にするためのリフォームを指す。
「トレンドとしては、断熱性能を向上させるリフォームに注目が集まっています。断熱性の高い窓や浴槽に取り替えることで余計な光熱費を削減しようという狙いです。トイレも節水型に替える方が増えるなど、全体的に省エネ志向になってきていますね」(同)
特に、窓のリフォームはこれまで需要が高くなかったが、住宅エコポイント、そして新たに省エネ住宅ポイント(後述)が登場したことにより、急速にユーザーの視線が集まりつつあるのだという。