全編を彩る印象深い ドラマティックな楽曲

モーツァルトの音楽を隠し味のように使った曲をはじめ、ピアニストでもある作曲家のイ・ジヌクが手がけた全編を彩るオリジナルナンバーの数々がいずれも印象深い。ジェラス役のチョ・ヒョンギュンが「どれも“声帯破壊”と言われるほど高音域の難曲ばかり」と語っていたように、ジェラスの歌う『狂った音楽』や1幕ラストの『神よ』、2幕中盤を盛り上げるサリエルとジェラスによる『白鳥の歌』など、最後までドラマティックな難曲が続く。全体的には重厚でダークなトーンだが、貴族たちや皇帝のシーンなどでは明るくコミカルな曲調のナンバーもあり、メリハリが効いている。

これらの難曲を歌いこなす俳優たちの力量も素晴らしく、俳優の層の厚い韓国ミュージカル界でこそ成立し得た作品と言ってもいいだろう。彼らの好演がサリエルとモーツァルトの人間的な苦悩を浮き彫りにする。歴史上の人物を描きつつ、誰にでも共感できる普遍的な物語に仕立て、独創的なエンタテインメント作品へと作り上げた手腕に韓国創作ミュージカルの成熟が感じ取れる。この秀作の日本での再上映が決定。大きなスクリーンとダイナミックな音響で本作を楽しめるまたとない機会だ。

「韓流ぴあ Presents K ミュージカルシネマ『サリエル』記録上映会」は、7月29日(水)・8月2日(日)に大阪・シネマート心斎橋、8月5日(水)・9日(日)に東京・シネマート新宿にて上映。

本物の韓国ミュージカルを映画館で体験しよう!
韓流ぴあ Presents K ミュージカルシネマ『サリエル』記録上映会(日本語字幕付き)

〈大阪〉シネマート心斎橋
2015年7月29日(水) 10時/12時15分
2015年8月2日(日) 10時
Pコード:554-308

〈東京〉シネマート新宿
2015年8月5日(水) 10時
2015年8月9日(日) 14時45分
Pコード:554-309

https://pia.jp/t/kmusical/(PC・モバイル共通)
主催:韓流ぴあ
問い合わせ:チケットぴあインフォメーション 0570-02-9111(10:00~18:00)

ミュージカル『サリエル』
1791年、オーストリア・ウィーン。天才音楽家モーツァルトの登場で深い苦悩の淵に陥る偉大な宮廷音楽家アントニオ・サリエルのドラマティックな生涯をテーマにした作品。サリエルを軸としながら、モーツァルト、謎の男ジェラスを加えた3人の数奇な物語を通して、人間の本質的な感情をリアルに描き出し、見ごたえ十分。特に、3人の愛憎が交錯するクライマックスは圧倒的な興奮と感動を呼び起こす! 初演は2014年7月。

 

 

HJ CULTURE
2011年に創立。創作ミュージカルの『シャーロック・ホームズ』をはじめ、『フィンセント・ファン・ゴッホ』、『サリエル』、『ファリネッリ』など、誰もが普遍的な感性で理解できる作品を制作。昨年、代表のハン・スンウォン氏は韓国公演プロデューサー協会の「2014今年のプロデューサー賞」を受賞。

 『サリエル』のCM動画をどうぞ!

 

『韓流ぴあ』ブレーンライター。香港映画から始まって韓国エンターテイメントの魅力に目覚めて20数年。ドラマをはじめとする韓国エンタメについて取材・執筆する日々の中、韓国作品のほかに中国時代劇や台湾作品に割く時間が増加中。

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