“死”があるからこそ“生”を感じる
CR岡本物語「僕は以前、『殿はいつも殿』という舞台で、不老不死の殿様を演じたことがある。でも、死んじゃうんですけれどね」
一堂「(笑)」
CR岡本物語「そこで『ようやく死ぬことが出来たんだ。悲しまないでくれ』っていう手紙を、妻宛に書くというシーンがあって。この役を演じて以降、亡くなっていく方は、『あまり引きずらないでもらいたい』と思っているのではないのかなと考えるようになりました」
吹原「葬式とかも、遺された人が一区切りをつけるためのものですものね」
CR岡本物語「うん。だから今作では、『死ぬのは、悪いことじゃないんだよ』と提示したい。『生きてる間は、楽しければいいや』と(笑)」
久保田「そうですね。思い出して、落ち込んでもらいたくない」
サイショモンドダスト★「そういえば、昔、何かの本で出会った『人が本当に死ぬときは、みんなから忘れ去られた時だ』という言葉があるのですが…」
吹原「ワンピース?」
サイショモンドダスト★「いや、小説だったかと…。で、その通りだと思った。ベートーベンとか、歴史に名を残している人って、やはり生き続けているのだろうなと。だから、名声を得たいというのは、人間の根源的欲求ではないかと…。だから僕も、ゆくゆくは政界に」
吹原「芝居はとっとと辞めて、今すぐ行ってください(笑)。手遅れになります!」
“死”をもってしても
生かされている“人間”の話
サイショモンドダスト★「嘘です。政治のこと、何もわかりません(笑)。…でも、名声を得ていない人たちだって、誰かの心には残り続ける。たとえば、この作品でも、ジャックの心の中に彼らは残っている」
久保田「そう。これは、ジャックによって生きさせられている人間の話です」
吹原「死と生は表裏一体。誰でも死にたいと思う時はある。でも、その時が一番生きていることを実感する時じゃないかなと思う」
CR岡本物語「普段は、生きていることが当たり前だと思っているけれどもね」
吹原「そう。死に直面して初めてわかる。たとえば、手首を切ったが、助かって、治っていく。その様子を見るのが、生きるということではないかなと」
久保田「死を描くということで、生きることを描いたと」
吹原「その豊かさが、この物語にはあると思うんで。そこを楽しんでいただければと思います」