近年、日本では、外国人観光客はもちろん、在留外国人(日本に住んでいる海外出身者)数が増加傾向にあるようです。
保育園のお迎え時や小学校の保護者会で、同じクラスの外国人の子のママとバッタリ……。そんなシチュエーションもますます増えてくるはず。
海外や語学に疎いママも、「異文化コミュニケーションなんて私には関係ないわ〜」なんて言ってる場合ではないかもしれません。
「難しく考えず、積極的にコミュニケーションを」と話すのは、株式会社First Star代表で、接遇英語講師の中野美夏子さん。外国人のママやパパ、子どもとの接し方について、アドバイスをいただきました。
必要なのは「アイコンタクトと笑顔」だけ!?
中野さんによると、外国人と接するときに必ず心がけたいのが「目をちゃんと合わせて、笑顔を向ける」こと。日本国内での国際交流シーンでは、それさえできていれば十分と言っても過言ではないそうです。
中野さん(以下、中野)「異文化を一括りにはできませんが、笑顔は、親しみや信頼など、相手に対するプラスの感情を表現する万国共通語です。
そしてアイコンタクトは、多くの文化で、『あなたに対して関心を持っています』、『親しくなりたいと思っています』などの意思表示であり、コミュニケーションの基本です。
たとえば欧米では、見ず知らずの人相手でも、目が合えばニコッと笑うのが当たり前。
逆に、目を合わさない、目が合っても笑顔を向けないのは、『関係を持ちたくありません』『無視します』というメッセージにつながりやすく、相手を傷つけることになりかねません」
ただ、日本人は一般的に、海外では基本マナーである“アイコンタクトと笑顔”がけっこう苦手。自分では笑顔になっているつもりでも、外国人から見ると、表情が控えめすぎて、笑っているようには見えないことも少なくないそうです。
また、花粉症や風邪の流行る季節などは、マスクをつけていて顔が半分隠れてしまっている人も…。
中野「人に笑顔を向けることに慣れていない人は、普段より少しオーバーに、顔全体で笑うようにするといいでしょう。マスクで口元が隠れていても、目尻が下がって目が細くなっていれば、ちゃんと笑顔に見えますよ。
最初はうまくできなくても、2度、3度と繰り返すうち、少しずつ伝わるようになればいいのです。相手からも笑顔が返ってくるようになれば、うまくできている証拠です」
「NG」に囚われない方が、距離は縮まる
文化や風習、マナーは国によって違うもの。知識がないことで、相手に失礼なことをして傷つけてしまわないよう、気をつけたいものです。
しかし中野さんは、よくメディアで取り上げられるような、外国人に対する“NGマナー”のリストを気にする必要はないと言います。なぜなら、NGマナーに囚われていると、コミュニケーションの機会自体が増えないからだとか。
たしかに「言葉が通じなかったらどうしよう…」「こんなことをしたら失礼なのでは?」などと考えていたら、なかなか話しかけることはできませんよね。
中野「日本人が海外で暮らす場合はまた別ですが、日本で暮らす外国人は、ここは日本で、日本人が自分たちとは異なる文化を持っていることもわかっているので、日本人の言動に寛容です。
アイコンタクトと笑顔という基本さえ押さえておけば、他の日本人のママと同様に、どんどん日本流のコミュニケーションで接してもかまわないと思いますよ。うっかり失礼に当たる言動をしてしまっても、素直に謝ればいいのです。
英語が苦手なら、無理に使わなくてOK。
相手も日本語をある程度話せるケースも多いですし、仮に相手がほとんど日本語を話せない場合でも、身振り手振りを交えながらわかりやすい表現で話せば、意外と通じるものです」