お金のやりくり練習ポイントは「ニーズ」と「ウォンツ」
最初からお金のやりくりが上手な人はいませんから、練習が必要です。
その練習の場として定期的に定額を渡すおこづかい制はとてもよいのですが、ポイントは「ニーズ」を含ませることです。
「ニーズ」とは必要なもの、無いと困るものです。
小学校低学年なら、例えば学校で使うノートの費用をおこづかいに含めて渡します。1か月に一度定額をもらったら、「ウォンツ」=欲しいものばかり買ってしまわずに、ノートが無くなる時のことを見越してその分をとっておかなければなりません。
学校で必要なものだと、親が買ってあげたくなりますが、そこは我慢のしどころです。
我が家では、おこづかいを使いこんでノートを買えなかった時には、先生に事情を説明し、次のおこづかい日まで他の紙に書いて過ごさせました。
小学校高学年の場合…
子どもが小学校高学年なら、例えば中学校進学時に必要になる制服を買うためのお金を、おこづかいに含めて毎月少しずつ渡します。
金額だけを見ると平均的なおこづかいの金額よりだいぶ多く見えるでしょうが、子どもが自由に使える金額が多いわけではありません。
制服分も使ってしまっていないか、さりげなくチェックしながら見守ってみましょう。
中学入学という未来の「ニーズ」費を計画的に貯めながら、「ウォンツ」=欲しいものも買うというやりくりの練習になります。
このように、扱う金額がまだ少額の子どものうちに、おこづかいを家計の縮小版として活用することもできるのです。
近くにいられるのはたった7年? 親が意識したい「お金の教育」
子育ての渦中にある時は目の前の大変なことばかりに目がいって、早く巣立って、自由な時間が欲しい!などと思ってしまいますが、子どもに寝食ともに寄り添って過ごせる時間は実は短いです。
話が通じるようになる5歳頃から冒頭のエピソードのように中学入学頃まで、それも素直に話ができる時期を仮に12歳までと考えると、たった7年です。
日本の義務教育に金銭教育はほとんど取り入れられていないので、お金の教育は家庭内の日々の暮らしの中で親が意識してその機会をつくり、積み重ねられて身につくものと考えていいでしょう。
そう考えると、親自身もお金のリテラシーを磨き、子どもに自信をもって伝えられるようになるといいですよね。
ぜひ親子一緒にその学びの機会を楽しみながら、子どもが経済的にも精神的にも自立して親の元を離れていく日を迎えてください。
小峯洋子
FP事務所 はっぴーまねープランニング代表 不動産開発会社、ハウスメーカーの設計部、商品開発部に勤務。夫の転勤により退職後、子育てをしながらファイナンシャル・プランナー資格を取得し、2014年FP事務所を開設した。子育て世代の家計の改善や「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として子供の金銭教育に力を入れている。