「霜降り」が再び人気を取り戻す?
一方「霜降りへの回帰」は、二律背反とも言える動きをみせている。
今までの“見かけだけの霜降り牛”による胃もたれのダメージで、消費者が持った「霜降りはもう食べられない」というイメージを駆逐する、「素晴らしい霜降り肉を、素晴らしい食べ方で提供する店」が、ブームなど関係ないところで確実に不動の地位を築いた。
たとえば三ノ輪で「炭火焼七厘」の名前で開業し、2015年に市ヶ谷に新生オープンした「炭火焼 なかはら」は、オープンしてからわずか1年足らずで、世界中のセレブたちがこぞって食べに来るハイエンドな焼肉店として君臨している。
特に受けがいいのは“霜降りの和牛”。なぜいまさら霜降りなのか?
こちらのお店は、選びぬかれたハイグレードな和牛を一頭買い。その水のように融点の低い脂を、さらに可能な限り磨き、余計な脂を取るカットの技術によって、本来くどいイメージを持たれていた和牛をさらっと美味しく食べられるようになっている。
焼肉店というイメージから“和牛を最も美味しく食べるためのレストラン”として、認知されるようになった。
また、阿佐ヶ谷にある九州和牛専門店「サトーブリアン」は、店名を聞いておわかりの方もいるかもしれないが、ヒレ肉の一番いいところといわれる“シャトーブリアン”をメインの商品においている。
A5ランクの九州和牛を使いつつも、サシの綺麗に入った赤身を使うことで、霜降りながら繊細で全くくどくなく旨味があるという、究極のイイトコどりを可能にした。まさに霜降り肉の新たな食べ方の開拓者と言える。
この両店も共に予約は困難で、2016年には新業態を出店(なかはらは2015年12月に代官山にHENRY'S BURGERを出店)するなど、霜降り肉の勢いは回復。むしろ“新しい霜降り肉の波”を巻き起こすことが予測される。
「肉の戦国時代」に突入!
つまり、赤身肉も霜降り肉も、「肉ブーム」という単なる浮ついた現象に踊らされているわけではないのだ。
和牛の取引価格が急騰する中ではあるが、さらなる「高み」を提供する店だけが生き残る「肉の戦国時代」に突入するだろう。
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