“兄弟刀”たちの絆にも注目
また、舞台『刀剣乱舞』を鑑賞する上で、同じ刀派の刀同士の絆という設定も注目しておきたいところだろう。刀にはその刀を鍛えた刀工というものがいるのが一般的で、その刀工を同じくする刀や、刀鍛冶の流派を同じくする刀は同じ銘をもっていたりすることも多く“兄弟刀”とも言える。
『刀剣乱舞』内では、佐々木喜英氏演じる宗三左文字と輝馬氏演じる江雪左文字、納谷健氏演じる小夜左文字が刀工の左文字一派を同じくする兄弟刀だ。彼ら左文字三兄弟の絆の描き方も舞台上では注目ポイントとなっているだろう。
三振りともに麗しい見目の兄弟だが、性格はそれぞれに違うし、刀としての形態も違う。特に筆者が注目したのは、小夜左文字役の納谷健氏だ。
小夜左文字は“短刀”なので、原作ゲーム内のヴィジュアルではとても少年らしい見目で描かれている。その少年らしい魅力を損なわず、さらに少し陰を背負ったような小夜左文字の表情を、2.5次元舞台には初出演だという納谷氏がとても魅力的に演じていた。
また、殺陣のシーンでは、太刀と打刀、短刀ならではの違いが出ていたのも面白かった。
おそらく劇中の殺陣はそれぞれの刀の特性が出るように考えられて振り付けられており、太刀なら刀身が目立つように優雅に大きく、打刀は激しく攻撃的に、短刀は小回りをきかせたアクロバティックな動きで、それぞれの刀の魅力を存分に見せていたように思う。
そこに、それぞれの刀剣男士の性格が加わって、本当に“十二振十二色”の殺陣を魅せていただいた。鑑賞する際には、ぜひ殺陣のシーンに注目してみて欲しい。
ここでも、小夜左文字役の納谷氏が良い仕事をしていたことも特筆しておこう(推しになったからの贔屓目では決してない……はず)。