子どもって天使に見えることもあります。でも、友達を突飛ばす、噛みつく、嘘をつく、言い訳する。周りに迷惑をかけ、「どうしてこんな行動をするの」と眉をしかめたくなることもあります。その原因は?
『発達障害に生まれて』のノンフィクションのモデルの立石美津子がお話しします。
人間の行動には“それをする理由”が必ずあります。それは子どもだって同じです。
そんなとき、ただ「こら!」「止めなさい!」「いい加減にしなさい!」の通り一遍のお決まりの注意の仕方ですと、子どもは一瞬、この言葉に条件反射して見た目、親の言うことに従ったように見えます。
でも、条件反射なので直ぐにまた同じことを繰り返します。
原因は3つ。それより対応を替えよう
1.急に躾をスタートさせたケース
人間の子どもは誰が教えたわけでもないのに、おっぱいを吸う、不快な時は泣くなど「生きていくための術」が生後から身についています。けれども“やっていいこと、悪いこと”は本能として知って生まれてくるわけではありません。
例えば、“テーブルの上に上ってはいけない”“病院の待合室で走り回ってはならない”ことは生まれつき知っている訳ではありません。子育てしながら主に親が躾けることになります。
けれども…
- 「まだまだ小さいから、言ってもわからないだろう」
- 「子どもだからテーブルの上に乗っても、待合室で走っても皆さん許してね」
などの考えで、子どもが3歳くらいになるまでテーブルの上に乗っても、病院やレストランで走り回っても、まったく注意しなかったとします。
そうなると、子どもはそれをすることを3年間、ずっと許されていることになります。
でも、状況的に許されない年齢が必ずやってきます。すると突然、親が躾をスタートします。けれども、子どもとっては3年間で染みついた習慣はそうそう簡単は改善できません。そうなると、親は大声を出し、時には手を出さざるを得なくなってしまいます。
最初から躾をしていなかったことが原因ですね。
【解決策】
1歳でも2歳であってもテーブルに乗ったら「降りようね」と即座に下ろしたり、走り回ったら「病院は病気の人がくるところだから静かにしようね」と外に連れ出したりしましょう。
これで、直ぐに改善するわけではありませんが、子どもは連れ出される体験を通して「それはしてはならないこと」と次第に理解するようになります。
2.大人の気を引こうとして、悪い行為だとわかっていながら周りを困らせている。
どんなに良い行動をしても、親が褒めたり認めたりしないケース。
だんだんと子どもは「だったら悪い行動をして親の関心を引こう」という逆の手段に出るようになります。「叱られてもいいから、それでもママに振り向いてもらいたい」という心の叫びですね。何だか切ないです。
でも、こういうことは結構あります。
例えば、周りの優秀な友達や兄弟と比較して育てられている子どもは、頑張って良い子にしていても、親があてがうハードルが高いので無視される状態に置かれます。だから、無視されないように悪い行動に出ることがあります。
こんな時は望ましくない行動(負の行動)を無視し、“一瞬でも椅子に座った”“お友達を突き飛ばないで『貸して』とできた”(正の行動)などのちょっと成長の瞬間を見逃さないで褒めましょう。これにより問題行動が自然消滅していきます。
これは“負の行動を強化しないで、正の行動を強化する”という方法です。