「お友達に優しくできる、お行儀もよい、勉強も出来る、運動もできる」こんな子だったらたくさんほめてあげられるのに、「落ち着きがない、片づけない、我儘、食べ物の好き嫌いが多い」ときたら、一体どこをほめたらよいのかわからなくなります。

ダメ出しが得意な人、出来ていないところを見つけるのがうまい人はとても多いように感じます。

『1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の著者の立石美津子が“光るダイヤを見つけることが上手になる秘策”をお伝えします。

自分が経験していないことを再現するのは難しい

©あべゆみこ

子どもには良いところがたくさんあるのに、親は我が子の出来ていないところを探し出すのが得意です。自分のことに対しても「あのママはこれが出来ているのに、それに比べて私は……」とダメ出しばかりしていませんか?

もしかして、あなたのお父様やお母様があまりほめ上手ではなく、あなた自身が幼い頃、親から認められたりほめられたりする経験が少なかったのかもしれません。

人はなかなか自分が経験していないことを再現するのは難しいからです。

“リフレーミング”を試してみよう

長年染みついてしまった考え方の癖を大人になってからは修正するのは、そうそう簡単にはいきません。すんなり出来たら誰も苦労はしません。

そんなとき心理学でいう“リフレーミング”をしてみましょう。悪い面を良い面という枠組みでとらえるのです。

  1. まず、「うちの子のこんなところが気に入らない、ここさえ改善してくれれば、もっといい子になるのに」と思うお子さんの短所をドンドン書き出していきます。そのとき下に一行空欄を空けておいてください。
     
  2. 次に空欄にそれを良い面として書き直してみてください。

例えばこんな感じです。

  •  ×騒がしい
    ○元気がある・明るい
  • ×我儘
    ○自己主張できる
  • ×落ち着きがない・集中力がない
    ○好奇心旺盛・興味津々
  • ×食べ物の好き嫌いが多い、偏食
    ○舌が敏感で味がわかる
  • ×お節介
    〇気が利く
  • ×ぐず・のろま
    〇思慮深い、丁寧に生きている

ほめる材料のない子

©あべゆみこ

筆者が学習塾で小学生を指導していた頃、「どこを探してもほめるところが見当たらない」男児がいました。

忘れ物はする、勉強は出来ない、友達にちょっかいを出す、席を立つ、鉛筆を投げるなどの良くない行動ばかりしていました。でも、この子は家に帰っても年中無休、365日叱られてばかりいた子でした。きっと幼稚園にいた頃もそうだったんでしょう。

ですから、まだ7歳なのに「どうせ僕なんか~」とひどく投げやりな態度で自暴自棄になり、「人生を楽しむのを諦めている」ような感じでした。

そこで、もし、筆者が追い打ちをかけるように「どうして、○○出来ないの!お友達が出来ることがどうしてあなたには出来ないの!」なんて叱ったら“傷口に塩”。居場所をなくしてしまうと考えました。