子どもの器を大きくする2つのステップ
![](https://urepia.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/640m/img_21fe09f2dd9ed6acb1fc5fb202bc4373139406.jpg)
器、つまり自己肯定感は、3つの要素から成り立っている、と天野さん。それは、
(1)呼吸や睡眠によって、身体を健康に保つ働きをする「脳幹」
(2)心をつかさどり感情を育む「大脳辺縁系」
(3)考える、記憶するなど、脳の高次機能をつかさどる「大脳(皮質)」
です。
このうち、子どもが身につけるべき知識や情報、社会のルール、他者とのコミュニケーションなどは、(3)の大脳(皮質)にあたり、器のたとえで言うと、中にたまる水です。
一方、たくさん水をためておける大きくて丈夫な器を作っているのが、(1)脳幹と(2)大脳辺縁系。自己肯定感の強い子どもを育てるためには、知識や社会ルールを教えるよりもまず、この2つのステップを踏むことが先決だといいます。
さらにショッキングなことには、10歳までに器の成長はほぼ決まってしまい、その後はこの成長が緩やかになってしまうというのです。
器がないのに水を入れると……?
天野さんのこの主張に、筆者も思い当たることがありました。
筆者自身、3歳の男の子を育てる母です。まだ「会話」という段階ではありませんが、それでも「お友達との物の貸し借り」や「順番を守って遊ぶ」といった社会のルールを学ばせなければなりません。
「おもちゃを借りたいときには『貸して』というんだよ」「〇〇ちゃんが先に遊んでいたから、順番ね」
何度、そんな言葉をかけたでしょうか。それでも、子どもにそんな言葉はまったく伝わらず、しまいには「何度言ったらわかるの!」と自分がイライラ、ヘトヘト。
こうした言葉は、天野さんの指摘する“水”の部分だったのです。しっかりとした器を作る前に水をジャブジャブと流し込んでも、一向にたまらないはずです。
会話も同じ。「自分は、自分のままで大丈夫。愛されている」、そう感じられれば、安心して自分の意見や考えを伝えたり、相手の思いをくみ取ったりと、上手にコミュニケーションを取れるようになっていくといいます。
コツは「身体を育み、心を育む」
器を構成する2つの要素のうち、「脳幹」は身体を健康に保つ働きを持っています。これがすべての基礎。呼吸、睡眠といった生活リズムを整え、身体を健やかに保ちます。
もう一つ「大脳辺縁系」は心の働き。親に認められていると実感することによって発達します。そのために重要なのが、親の「認める言葉がけ」です。