『機動戦士ガンダム』40周年プロジェクトとして、11月16日、東京・東京文化会館 大ホールで、「『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』ピアノコンサート~Soul of the Iron-Blooded Orphans~」が開催された。作曲家・横山克が手がけた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の楽曲を、ピアニストの阪田知樹が演奏するというもの。
三日月・オーガス役の河西健吾、オルガ・イツカ役の細谷佳正、ユージン・セブンスターク役の梅原裕一郎、クーデリア・藍那・バーンスタイン役の寺崎裕香といった同作の声優陣も登壇。トークコーナーでは、制作中のスピンオフ作品『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』に向けた話題も飛び出した。
寺崎裕香が赤いドレスで「戦火の灯火」を熱唱
『鉄血のオルフェンズ』は、宇宙ネズミと呼ばれて虐げられてきた少年たちが、「鉄華団」を結成し大人たちに反旗を翻す物語。従来のガンダム作品とは異なり、ロボットバトルよりも青春群像劇に重きが置かれた。主人公たちが苦悩し葛藤するシーンが多く描かれ、そこに流れる独特の張り詰めた緊張感がファンを魅了してやまない。
横山の手がける音楽は、ラテン、中東、東欧などの民族的エッセンスが取り入れられている。少年たちの躍動感を表現するために、横山はデッキブラシや足踏みでリズムを鳴らす工夫をしたとのこと。阪田の演奏を前に、「リズムを主体とした『オルフェンズ』の音楽を、ピアノだけでどう表現するか楽しみ」と声を弾ませた。
演奏は、阪田のピアノ1本で繰り広げられ、スクリーンにはその曲に合わせた名シーンが映し出された。MAN WITH A MISSIONが担当した第1期OPテーマ「raise your flag」も演奏され、勇ましさがピアノによってより強調され、改めて同曲が持つメロディの力強さを実感させられる。
様々なシーンをバックに、『オルフェンズ』を彩った珠玉の名曲が、華麗なピアノ演奏によって立て続けに披露されていく。時にはタンゴなどのラテン調で、火星の乾いた空気や、そこに生きる人々の情熱が表現された。渇いたギターの音色がピアノでも表現された「Habitat」では、失った仲間を見送るシーンが映し出され、悲しみが会場を包み込む。
そして19話の挿入歌として話題を集めた「戦火の灯火」では、クーデリアをイメージしたと言う赤いドレスをまとった寺崎が登場し、阪田のピアノをバックにしっとりとしたムードで、切ない歌声を聴かせて会場を感動させた。寺崎は、2016年に開催した「鉄華団決起集会」で、クーデリアの演説シーンを再現した時よりも緊張したとのこと。