撮影/友野雄

クールな青年から元気で明るい少年まで、キャラクターの違いを繊細な表現で演じ分ける声優・内田雄馬。公開中の映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、思春期の悩める少年を見事に演じている。

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マルコスはアムロと対照的なキャラクター

撮影/友野雄

本作は、1979年から放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダム」第15話「ククルス・ドアンの島」を翻案した映画だ。内田にとってガンダムシリーズへの出演は、『ガンダムビルドファイターズトライ』(コウサカ・ユウマ役)、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(アイン・ダルトン役)に続き、本作が3作品目となる。

「ガンダムシリーズはすごく好きな作品です。子どもの頃からロボットへの憧れがすごくあり、僕の中ではそんなロボットの最たる象徴が『ガンダム』でした。さらに『ガンダム』はアニメ史を作ってきた一つでもあります。なので、声優になってからガンダムシリーズに参加するのは目標の一つでもありました。

活動後すぐに(『ビルドファイターズ』の)レギュラーをいただいた時、すごく嬉しかったことを今でも覚えています。そして今回、ファースト(『機動戦士ガンダム』)のストーリーを抜粋してリファインされた作品に参加ができて、非常に光栄に思っています」

撮影/友野雄

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、主人公のアムロ・レイが流れ着いた島で、敵対するジオン軍の脱走兵ククルス・ドアンと戦災孤児の子どもたちと出会い・交流をする物語だ。

内田が演じるのは、ドアンと島に暮らす少年・マルコス。子どもたちの中では最年長で、力仕事をこなしながら子どもたちをまとめるお兄さん的な存在だ。アムロとは同じくらいの年齢であり、対抗心を燃やしている。内田は「マルコスはアムロと対照的なキャラクターです」と語った。

「マルコスは特別何かに秀でているわけではありません。ドアンから頼られたい、子どもたちの力になりたいと強く思っているけれど、思春期を迎えた普通の少年でとにかく今を一生懸命に生きています。一方、アムロは自分にできないことができてしまう。そんなアムロを見て、同年代として自分の頼りなさや羨ましさ、ジェラシーを感じています」

劇中、ドアン、アムロ、マルコスが壊れた水道管を修理するシーンがある。暗く狭い場所での修理を頼まれた時、マルコスは恐怖で動くことができない。一方アムロは、率先して修理を申し出るのだ。アムロとの出会いによってマルコスは自身の未熟さを痛感するのだが、「その“気づき”こそが今作の肝になるテーマだと思う」と内田は明かす。

「おそらくたった数日間のことを描いたお話なので、マルコス自身、人間的に劇的に成長したり変化したりすることはありません。だけどアムロという自分たちのコミュニティの外にいた人間との出会いをキッカケに、自分たちが置かれた環境の中で大切なものやどう生きるべきなのかに気づかされていく。そういう小さな気づきが丁寧に描かれた作品だと感じています」