「人間にしか味わえない楽しさを感じられる仕事」

撮影/友野雄

とはいえ、内田は毎クール数本のTVアニメだけでなく、本作のように劇場アニメやゲーム、ドラマCDなど数多くの作品に出演している。一つひとつの作品や役を深く理解するのは、大変な作業ではないのだろうか。率直に疑問をぶつけてみると、「そんなに難しいことではないんです」と屈託のない笑顔を見せた。

「みなさんがマンガや小説を読む時、『何となくこういう声だろうな』と感じることってあると思います。そんなみなさんの思う何となくを、明確化して形にしていく仕事をしているだけなんです。なぜそう思ったのかを考えて、自分なりのこうであったらいいなを付け足します。何も難しいことはしていないんですよ。

そうやって考えることは、お芝居をする上で楽しいことの一つでもあります。自分の考えたお芝居に対して相手から想定していなかった反応が返ってきたり、相手の考えたお芝居に対して自分のお芝居が変わったりする。考えてお芝居することでコミュニケーションの化学反応みたいなものが起こるから、とても楽しいんです」

撮影/友野雄

芝居の楽しさを語ってくれた内田。最後に「“声優”という仕事の楽しさとは?」と問いかけてみた。

「ある先輩からの受け売りなのですが、『“人間らしさ”=“考えること”。人間に与えられた最大の力は“思考”であり、人間にしか味わえない楽しさなんだ』と言われたことがありました。

声優は自分の年齢や容姿に左右されず、心の在りようを変えることでお芝居を成立させます。自分とは全く違う人間になることができれば、ロボットに乗ることだってできる。さらには人ではない存在にもなれてしまう。いろいろなものの気持ちに寄り添い、いろいろなものとの関係を味わえます。そして、それらを声だけで演じます。

声だけで伝えられる要素を自分の中でできる限り想像して形をつくり、それによって声に乗るお芝居が変わってくる。考えたことが何も無駄にならない。声優はまさに人間にしか味わえない楽しさを感じられる仕事だなと。僕はこの仕事がすごく楽しいんです」

映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は6月3日(金)より公開中。

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