鴨の燻製と豚の蒸し煮の幸せな共演
韓国の豚肉料理のなかでもサムギョプサルに次ぐ存在感があるのがポッサムと呼ばれる食べものだ。
ポッサムとは大ざっぱにいうと豚肉を浅漬けキムチといっしょに包んで食べるものなのだが、冬場ならこれに生牡蠣(クル)を加えて食べるのも人気だ。これをクルポッサムという。
いずれにせよ主役は豚肉だが、健康志向が高まった2000年以降は、高たんぱく低コレステロールで美容効果が期待できる鴨肉の燻製(フンジェオリ)も存在感を増している。
この店では豚肉と鴨肉の両方が楽しめる。サンチュ(包み菜)を手に取り、鴨肉をのせ、多彩なつきだしのなかから好きなものを数種類添えて巻いて食べたら、もうグルメコメントは不要。
美食と健康の高次元な両立を楽しむといい。
『トゥランW』
松坡区オリンピック路300 10:30~22:00 TEL:02-3213-4645 無休
移動に便利な忠武路駅から徒歩5分の正統派冷麺店
前述のサムゲタンはあつあつなのに夏食べるものだが、平壌冷麺は冷たいのに冬食べるものとされている。
朝鮮半島ではオンドルと呼ばれる床暖房が一般的だ。外は零下なのに、ぽかぽかのオンドルで過ごすのがステイタスというか、至福の時間なのだが、そこで冷たい麺をすするのというのが、これまた贅沢といわれているのだ。
ソウル旧市街(漢江の北側)の乙支路エリアには、かつて冷麺の本場・北朝鮮から移住して来た人が営む冷麺店が数軒ある。
この店もそのひとつで、にごりの少ない透明感のあるスープと蕎麦が香る麺は、日本の焼肉店でなんちゃって冷麺を食べ慣れている人を驚かせるには十分な清涼感がある。
味に味を重ね、しかも葉野菜で巻いて食べたり、調味料を加えてかきまぜて食べたりするものが多い韓国料理のなかで、平壌冷麺は異色の存在。
繊細な味わいが好きな人や、京都の食べ物が好きな人、日本のうるさい蕎麦通も絶賛する。この冬、ぜひ体験してもらいたい。
『筆洞麺屋』
中区筆洞3街1-5 11:00~21:00 TEL:02-2266-2611 日曜休
*取材協力:ソウル特別市(市民疎通企画館、都市ブランド担当館)デジタル朝鮮日報