ソウルで "旧市街の逆襲" が始まっている。
韓流やK-POPのブレイク以降、韓国に対してアジア的なものより、おしゃれなもの、かわいいものを求める層が増えた。
そのため、ソウルを横切る漢江(ハンガン)の南側の江南(カンナム)エリアや、西寄りの学生街・弘大(ホンデ)が十数年間、人気エリアだったが、ここ数年、若者のあいだで懐古趣味が盛り上がっていることもあり、漢江北側の旧市街が脚光を浴びている。
その象徴が、伝統家屋をリノベーションしたおしゃれなカフェやレストランが急増している益善洞(イクソンドン)を含む鍾路3街(チョンノサムガ)エリアだ。
今回は、そんな旧市街にある人気の大衆食堂を3軒、お教しえしよう。
太刀魚とダイコンの煮物が美味しい店(景福宮エリア)
ソウルを代表する人気観光地・景福宮(キョンボックン)駅の7番出入口の近くにある川魚と海鮮料理の専門店。
午前11時半くらいになると、昼食をとるお客さんが3卓ほどのテーブルに陣取り始め、12時近くなるころには座敷もあらかた埋まってしまう。
人気のカルチムウチョリムは、太刀魚(カルチ)とムウ(ダイコン)を辛く煮たもの。これに豆腐やキムチ、ナムルなど副菜5皿と五穀米のごはんが付く。日本で言えばサバ味噌煮定食のようなものだ。もちろん、ここは韓国。サバ味噌煮よりずっと辛い。これで7,000ウォンは立地を考えたら良心的だ。
2切れ入っている太刀魚の身はふわっとしていて、しっかり魚の風味が感じられる。しょっぱくて辛いソースが強過ぎて、何を食べているのかわからなくなるなんてことはない。味のしみたダイコンも名脇役で、ごはんが進む。
この店のあるブロックの南側は、東京でいえば丸の内や日比谷のようなオフィス街なのだが、ここは伝統家屋など低層階の建物が多く、早くも益善洞のようにリノベーションされたカフェやレストランができ始めている。今後、注目のエリアになりそうなので、散歩しても楽しいだろう。
トンガン・ミンムルコギ
鍾路区弼雲洞278-5 TEL: 02-723-0840 8:00頃~21:00頃 無休
ソウルで釜山名物を。ディープなエリアだけど、入りやすい店(鍾路3街)
今、注目の鍾路3街エリアは、
1、お年寄りが憩うタプコル公園周辺
2、若者が集まるおしゃれな益善洞
3、酔客があふれる鍾路3街駅3~8番出入口沿いの屋台通り
の3つに大きく分けられる。
『ハプジョン・テジクッパ』は、まさに1のエリアの目立つところにできた新しい店だ。この辺りは「楽園洞テジ(豚)クッパ横丁」と呼ばれる庶民の食堂街なのだが、ディープ過ぎて外国人旅行者には少々入りにくいかもしれない。
しかし、この店はタプコル公園に面したところにあり、目の前が広場のようになっているので、雰囲気が明るい。店の前面がガラス張りなので中の様子もよくわかる。この店に向かって左手の路地に連なる店と比べると、群を抜いて入りやすい。
テジクッパは釜山を中心とした半島南東部で食べられてきたが、近年の地方旅行ブームで全国的に認知されるようになった。この店のそれは豚肉を長時間煮込んだ白濁したスープの中に、豚肉片とニラ、ネギ、ごはんが入っていて5,000ウォン。
副菜は青唐辛子と白菜キムチ、ダイコンキムチ。スープは薄味なので、しょっぱいのが好きな人はアミの塩辛を加えて食べるとよい。豚肉はスープから取り出して味噌をつけて食べてもよい。
ハプジョン・テジクッパ
鍾路区楽園洞418-3 TEL:02-742-4142 11:00~21:00 無休