世の中は“平均年収”“平均寿命”など平均という言葉で溢れています。子どもの一般的な成長についても、「平均的に○歳になると立つようになる、言葉を話すようになる」と聞くと、自分のこと以上に不安になりませんか。でも、平均値、イコール普通ということではありません。
『1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
成績でも「平均点は〇点」と耳にして、自分がそれよりも下回っていると凹みますよね。
例えば“平均寿命”だって若くして亡くなる人と長生きする人を均して、男性81歳、女性が87歳。でも、全員が全員、この年まで生きるわけではありません。
子どもの成長や発達も顔かたちが違うように、みんな同じようになることはないのです。
周りとの比較で幸せを感じる人間の性
周りと自分を比較するのが人間の性なのかもしれません。
- 生涯、未婚の人が人口の9割を占めていたら、結婚している人は「わあ、既婚者なんだ」と天然記念物級に珍しがられるでしょう。
- クラス全員が眼鏡をかけていたら、眼鏡をかけていない子どもは苛められるかもしれません。
- フランスなど婚姻関係を結ばない事実婚で生まれた子どもが半数いると聞きます。でも、日本でそれをやると少し驚かれます。
- このように自分の価値を周りと比べてしまうのが人間のような気がします。
脳科学者の茂木健一郎さんの本にはこうあります。
「周囲が自分よりも抜きん出ていれば幸せだけど、周囲も同じ生活レベルなら特別に自分が幸せだとは思わない。このように、私達が常に他人との比較において幸福を感じるのだとしたら、幸せとは絶対的なものではなく相対的なものということになります。…中略…
友達がどんどん結婚していき子どもに恵まれる中、自分一人がずっと独身でいると焦燥感にかられることもありますね…略」
出典(茂木健一郎『幸福になる脳の使い方』)
平均で溢れている世の中
- だいたい首が3ヶ月くらいには座る
- 寝返りは5ヶ月くらい
- お座りは6ヶ月くらい
- 1歳くらいになると立つ
- 2歳くらいになると喋る
上記は大よその平均的目安です。
小学校に入学すればテストがあり「クラスの平均点は○○点」で我が子の学力を判断します。
こうなると、「個性を大事にして育てたい」「子どもの持ち味を生かして育てたい」と言いつつ、周りの子どもと比較したり、人並みを意識したりして育てしまうことって誰にでもあります。
けれども、みんな違った親の遺伝子を受け継いで生まれ、顔も体つきも違います。
成長の仕方や周りがだいたいどれくらいなのか目安として知っておくことは大切ですが、我が子がそれにぴったり合わないからと引っ張り回すことは、むしろ子どもを潰してしまうのではないでしょうか。
ママにも色んなタイプがいます。仕事も子育ても両立してキラキラしているママだったり、専業主婦で子育て一本だったり。
でも「子育てとは未来の世界を作る人材育成をしているこの世で最も大事な仕事」をしているのですから、子育てだけに専念していても素晴らしい偉業を成し遂げていることなのです。
ですから、「あのママができているのに私はダメ」と自分にダメ出しをすることはありませんよ。