『ラブひな』(赤松健)
現在では、日本漫画家協会理事、漫画配信サイト「マンガ図書館Z」の運営を行う株式会社Jコミの代表として、漫画文化の普及を貢献されている赤松健先生が放った大ヒットラブコメ作品。
温泉付きの女子寮「ひなた荘」に転がり込んできた浪人生の主人公、浦島景太郎と、彼の前に次々と現れるいずれも強烈な個性を持つ美少女たちとのやり取りは、新世代のラブコメとして、熱狂的な支持を得ました。
どちらかというと、週刊少年漫画誌の中でも硬派で男臭いイメージのあった『週刊少年マガジン』に新しい息吹をもたらした当時の看板作品の一つです。
また、アニメ化やゲーム化などのメディアミックス企画も積極的に行われ、アニメでは、人気女性声優が数多く出演。アニメ版は、現在のように、深夜枠でのアニメの制作、放映がメインとなる以前という時代背景もあってか、テレビ東京系列で22時台の放送という今ではちょっと考えづらい珍しい形で全国に届けられていました。
アニメファン、声優ファンからも愛された2000年代前半を代表するラブコメ漫画です。
『いちご100%』(河下水希)
読んでいた作品で、ストレートに世代が出る『週刊少年ジャンプ』連載作品。現在、20代の半ば~アラサーの男性にとって、思い出のラブコメ作品といえば、この『いちご100%』ではないでしょうか?
「いちご柄のパンツ」をきっかけに始まる主人公とヒロイン達の恋愛模様は、当時の男性読者の目を釘付けに。パンチラや胸チラといったお色気描写も多く、様々な意味で思春期真っ只中な男の子たちを身悶えさせた作品です。
サービスシーンも多さもさることながら、本作の魅力として特筆すべきは、各ヒロインたちの繊細な心理描写にあります。
明るいギャグシーンやエッチなサービスシーンをふんだんに盛り込みつつも、恋愛感情の機微に重きを置いた真摯なラブストーリーは多くの読者の心を掴み、少年誌のラブコメ作品においては異例ともいえる長期連載に。3年以上に渡ってジャンプファンから愛されました。
『To LOVEる -とらぶる-』(画/矢吹健太朗、脚本/長谷見沙貴)
『いちご100%』の後に、『週刊少年ジャンプ』誌上で、エッチなラブコメ成分を担当したのが、この『To LOVEる-とらぶる-』です。
平凡な男子高校生である主人公、結城梨斗(リト)と、そんな彼のもとに宇宙からやって来た異星の王女、ララ・サタリン・デビルークをメインヒロインに据えたラブコメストーリーは、読者の支持を受けて長寿シリーズに。現在も、『ジャンプスクエア』にて、続編的な作品『To LOVEる -とらぶる- ダークネス』が連載中です。
SFやファンタジックな設定を用いて、良い意味で荒唐無稽なお色気描写が展開されるハイテンションな作風は、2000年代のラブコメ、エロコメにおいて、一つのマイルストーンとなりえる革命を起こしました。
少年誌連載作の限界に挑むエクストリームなお色気描写は、単行本化の際に更にパワーアップを施されており、裸体のパーセンテージも格段にアップ!
アニメ版も幾度となく制作されており、息の長いロングランシリーズとなっています。
『みかにハラスメント』(水兵きき)
マッドサイエンティストな姉の発明品のせいで、毎回毎回、奇想天外なシチュエーションのもとエッチな目に合わされるヒロイン、みかの姿を描く破廉恥コメディ。
その過激な作風がインターネット上で話題となり、単行本もスマッシュヒットを記録しました。
女の娘の「羞恥」の描写にフォーカスしたフェティッシュな作劇と倒錯的な変態シチュエーションは、少年誌に掲載できたのが奇跡に思える振り切れ具合であり、最早、伝説となっています。
作者の水兵きき先生は、女の娘を辱める描写に長けており、本作の後にも『葵さまがイかせてアゲル』『あいは呪いの日本人形』など、「独特なシチュエーションのもと、女の娘が恥ずかしい目に合う」良質なエロコメ漫画を描かれています。
『To LOVEる -とらぶる-』と同じく、2000年代の半ばに発表された作品であり、比較的新しい作品でありますが、20代の読者にとっては、「あの頃の心の一冊」となっている方もいらっしゃることでしょう。ネットが人気に火がついたという点でも、お色気漫画の新時代到来を感じさせてくれた作品です。