『D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~』(桂正和)

『ウイングマン』『電影少女』『I''s』などなど、美少女を描き切る圧倒的な画力とストーリーテーリングの巧みさで、数多くのヒット作を世に送り出してきた桂正和先生が90年代の前半に連載していたSF作品。

女性を虜にする特殊な遺伝子を持つ桃生純太のもとに、未来から謎の美少女、葵かりんがやって来たことから幕を開ける本作は、現在と未来という二つの時間軸を使い、スケールの大きな作劇が行われました。

SF漫画としての魅力の高さに加えて、可愛さと艶やかさを併せ持つヒロイン達の描写でグイグイ惹きつけてくる漫画としてのおもしろさは、最早、匠の業。代表作として前述した諸作品に比べると、やや知名度は落ちてしまうかもしれませんが、桂正和先生の魅力が詰まった良作です。

作者の持ち味の一つとなっている、圧倒的な描き込みによるパンティーの描写は、本作でも勿論健在ですよ!

可愛い女の娘やエッチなシチュエーションに巻き込まれる幸運の持ち主でありながら、極度の女性アレルギーの為、エロいものを見ると嘔吐してしまうという哀しい性を持つ純太のキャラクターも良い味を出していました。

『教科書にないッ!』 (岡田和人)

青年誌を中心に活動する岡田和人先生の代表作で、『ヤングチャンピオン』連載作。単行本は全18巻の人気作となり、VシネマやOVAもリリースされました。

不良高を舞台に、人の良さだけが取り柄の男性教師と、ヤクザ家に生まれたヒロインが、ふとしたきっかけから同棲生活を送る様を描いた学園ラブコメですが、ヤンキーやヤクザなどのアウトローな登場人物が次々に登場する実に青年誌らしい作風は、メイン読者である青年層はもとより、ちょっと背伸びをしたい年頃の男の子にも支持されました。

「エロ」の描写に関しても、作中で性風俗の様子が描かれるなど、少年誌や児童漫画雑誌掲載作品のお色気よりも、更に一歩踏み込んだ内容となっており、そのアダルティーな作風で少年たちに大人の世界を垣間見せてくれた作品です。

何よりも、本作のヒロインである白樺綾の小悪魔的でトッポイキャラクター性は、少年誌的なヒロイン像とは異なる魅力を持っており、本作の大きな引力となっていました。

最近になっても、実写映画作品が制作されるなど、今尚色褪せぬエンターテイメント性を持つ不朽の名作です。

『巨乳家族』(みずきひとし)

「男の子ではあるものの、胸に立派な巨乳を持った主人公が、時に自己主張が強過ぎる胸を隠しながら、その胸を武器にグラビアイドルとして活躍する」という破天荒な設定を用いたハチャメチャでとにかく楽しいギャグ漫画です。

相手とシチュエーションによって、男性としても女性としても振る舞う主人公は、度々、エッチなトラブルに巻き込まれてしまい身体の秘密がバレそうになってしまいます。しかし、その都度、機転を効かしてピンチを脱出する様がドラマの軸となっており、そのユニークな作劇は、本作を唯一無二のエロコメに仕立てています。

度々、性交シーンが登場するなど、今回紹介する漫画の中でも、その性描写はずば抜けて過激な作品ですが、所謂「成年コミックマーク」が付いていない為、書店などでも成人コーナーではなく、一般の漫画と一緒に陳列されており、年齢的に成年向けのエロ本やエロ漫画を買うことができず日々、悶々としていた思春期の頃に「お世話」になった方も多いハズ。続編もリリースされた人気作です。

作者のみずきひとし先生は、この他にも一般誌、成年誌を問わず「おっぱい推し」な漫画を多数発表。また、近年では、主に『東方』シリーズの二次創作を手掛ける人気同人作家としても活躍されています。

『GIRLSブラボー』(まりお金田)

明るく、楽しく、そしてエッチなコメディ作品を得意とする女性漫画家、まりお金田先生が2000年代の頭から中盤に『月刊少年エース』で連載していた、ちょっとファンタジックなラブコメ作品。

まりお金田先生の代表作と呼べる作品で、その人気の高さから二期に渡ってテレビアニメ化もされました。

ストーリーは、主人公である佐々木雪成が、ある日、異世界「セーレン」へと飛ばされてしまい、地球とセーレンという二つの世界を行き来しながら様々な女の娘に出会っていくというもの。

その物語の粗筋だけを追うと、所謂「ハーレムラブコメ」的な側面が強いと感じられるかもしれませんが、雪成の実直な性格と、女の娘に触れると蕁麻疹が出てしまう「女性アレルギー」持ちという特異な設定が本作では恋愛描写を盛り上げるエッセンスとして巧く機能しており、決して男性本位のご都合主義な恋愛で終わらないのが魅力です。

また、美少女にも関わらず度を超えた天然で大食いのメインヒロイン、ミハルやおバカでセクハラが生き甲斐の名物キャラクター、福山などの個性的なキャラクターたちが織り成すドタバタコメディは非常に完成度が高く、「ラブコメ」としてのおもしろさは一級品です。