第29回東京国際映画祭コンペティション部門満足度ランキング中間発表

10月25日(火)に幕を開けた第29回東京国際映画祭も早くも折り返し!

ここで、最優秀作品賞「東京グランプリ」を争うコンペティション部門の作品の全16作品中、これまでに上映された7作品を見た観客の生の声をピックアップ。鑑賞後の満足度ランキング、および、俳優、ストーリー、音楽、演出の4項目別(5点満点)の平均得点の中間発表をお届けいたします!

【暫定第7位】『浮き草たち』 満足度:67.3

浮き草たち ©2016 Over the Barn, LLC

俳優:3.9

ストーリー:3.3

音楽:4.1

演出:3

『浮草たち』は東京国際映画祭のコンペティション部門には珍しいアメリカ映画。国際的な評価を集めるアダム・レオン監督による作品で、ある仕事を頼まれた主人公が、謎めいた事件に巻き込まれていくさまを描く。

スリラーにしてラブストーリーでもあり「犯罪ものですが軽快なライトコメディでもあり、テンポもよく、ボーイミーツガールの要素もあり面白い!」など、ジャンルをまたいでの展開力を高く評価する声が多く見られた。特に主人公と、彼が出会う謎の女に対し「さわやかな感じでよかった」「粗削りだけど、さわやか」「チャキチャキとした音楽に合わせて展開し行く感じがよかった」と青春映画として高評価を得ている。

ちなみに主人公を演じたカラム・ターナーはイギリス出身の26歳で、『グリーン・ルーム』など、日本でも公開予定の作品に多数出演しており、今後、注目を集めそうだ。

【暫定第6位】『ブルーム・オヴ・イエスタディ』 満足度:79.7点

ブルーム・オヴ・イエスタディ ©2016 Edith Held DOR FILM-WEST, Four Minutes Filmproduktion

俳優:4.2

ストーリー:4.3

音楽:4.2

演出:3.8

第6位は日本でもヒットを記録した『4分間のピアニスト』にて、獄中の天才ピアニスト少女と戦中の辛い記憶を抱える老女の交流を描いたクリス・クラウス監督の『ブルーム・オヴ・イエスタディ』で『4分間の…』と同様にホロコーストを題材にしつつもユーモアあふれるラブストーリーに昇華させている。

ホロコーストのイベントを企画するも、強引さゆえに担当を外された男性が風変わりなフランス人の女性と独自に準備を進めるが、そこで意外な事実が…。

ビジュアルや短いあらすじからは、なかなか展開の読みづらい物語だが、見終えた観客の評価では、ストーリーが平均4.3点と高得点を記録し、俳優、音楽も平均4.2点と高水準。

主演ラース・アイディンガー、共演のアデル・ハネルは、日本での知名度はまだまだ高くはないが、本場欧州では国境を超えて活躍する売れっ子である。特にハネルはダルデンヌ兄弟の新作でヒロインを演じ、カンヌでも注目を浴びた気鋭の存在であり、今後、日本でもファンが増えそう。作品自体も女性を中心に幅広い年齢層が鑑賞しており、良質な欧州映画として安定した高い評価を得たと言える。

【暫定第4位(同点2作品)】『サーミ・ブラッド』 満足度:80.8点

サーミ・ブラッド ©Nordisk Film Production Sverige AB

俳優:4.4

ストーリー:3.8

音楽:4.4

演出:3.8

第4位は同点で2作。まずはコンペ16作の中でも随一の社会派作品『サーミ・ブラッド』がランクイン! スウェーデンの山間部に暮らし、劣等民族として不当な差別を受けてきたサーミ族の少女の戦いを描いている。

サーミ族と差別の歴史自体、初めて知るという観客が多かったようで「北欧の人種差別というのを知る機会になった」という声が目立つ。

「差別の根の深さを感じた」「少数民族の生き方、その葛藤がよく表現されていた」といった社会派作品ならではの感想も多いが、その中でも、少女を主人公に描いたことで、重いだけではない、青春映画の趣もあり「少女が素敵でした」という声も多く、俳優の項目が4.4。音楽も同様に4.4と高評価を得ている。

【暫定4位(同点2作品)】『シェッド・スキン・パパ』 満足度:80.8点

シェッド・スキン・パパ © Magilm Pictures Co., Ltd. Dadi Century (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved

俳優:4.6

ストーリー:4.3

音楽:4.2

演出:4.1

第4位のもう1作は、日本の劇作家・佃典彦の戯曲を原作にした香港発の感動コメディ『シェッド・スキン・パパ』が入っており、質の高い作品群の中でキッチリと平均80点超えを達成。主人公が映画監督として挫折し、借金と離婚問題に頭を悩ませる一方で、老いた父が“脱皮”して若返るという奇想天外な物語が展開。香港の歴史を織り交ぜるなど、日本の原作から新たな作品へと“脱皮”を遂げている。

シュールな展開を愛の物語へと着地させている、演劇畑出身のロイ・シートウ監督の手腕を評価する声が高く「ユニークな演出が面白い」「笑って泣ける作品になっていた」との声が寄せられている。またこの演出に見事に応え、存在感を放っているキャスト陣への称賛も多数で「俳優」に関しては上位2作の上を行く平均4.6点を記録! 特にW主演のひとり、フランシス・ンに絶賛の声が集まっており、主演男優賞も期待できそうだ。