「全てが完璧に揃わなければやるべきじゃない」(山寺)

水島 裕 撮影:tama

水島:まずはキャスティングですよね! 誰にキャストをやってもらうのかで、本当にリズム感も空気も変わってしまうので……そういう意味では、前作ではとても良いメンバーが集結してくれて、理想のキャスティングになったと思います。本当にゼロから、製作スタッフ、劇場、出演者まで、少しずつ決めていったんです。

山寺:芝居やっている人って本当にたくさんいるし……でも、このラフィングライブはとにかく自分たちの納得した人たちと、納得した形でやらなければ、と思って始めたプロジェクトなんですよ。次から次へと「やらなきゃいけない」というのがイヤだったんです。

芝居をひとつやるというのは大変なことですし、それぞれ仕事も抱えながらやるわけだし……かといって、「時間がなかったから」なんて風には絶対にしたくなくて。時間がなかったとか、思った通りのキャスティングじゃないとか、後で言い訳を絶対にしたくない。

水島:前作は『おはスタ』やりながら稽古もしていたしね。

山寺宏一 撮影:tama

山寺:脚本も演出も共演者も、全てが完璧にそろってなければやるべきじゃないって思ってたんです。それだけのリスクをかけて……リスクと言ったらおかしいかもしれないけど……いろんな労力をかけて創り上げる。そうじゃなければやりたくないと、僕は思っていたんです。

だから、正直前作のときは「面白い脚本だけど、一体どういう風にやるのだろう?」と悩みました。稽古不足でしたなんて言い訳をしたところで、来るお客さんには関係ないんだし。

しかも、野坂さんとも初仕事だったわけで、どういう演出家さんかわからなかったですから……。“演劇コンプレックス”を持っている僕を引っ張り上げて、役者として成長させてくれるならば、という上からか下からかわからないような条件で(笑)、お引き受けしました。

―― コメディをやろうと思ったきっかけはあったんですか?

水島:だって僕たち、ユニット名が“ラフィングライブ”だもん! コメディやるためのユニットとして立ち上げたんですよ。(笑)

山寺:そもそもがコメディをやろうと決めて組んだユニットだったので。コメディ以外のお芝居ももちろん好きだけど、やはり一番好きなのは笑って日常を忘れてもらったりするコメディなので。やっていて笑いなんかの反応があるのもうれしいし。

水島:まっ、ただ単に、僕らが好きだからコメディやっているって感じだけど。

―― おふたりはこれまでのお仕事の中でも、人を笑わせるという表現にはたくさん挑戦されてきていると思うのですけど、今作に関しては、表現者としての難易度はいかがでしょうか?

水島:難易度は……高いよねぇ!