同じセリフでも、英語で言うテンションと、日本語訳になったときのテンションって、全然違うんです。

今、そこがすごく、自分の中で乗り越えなきゃいけない壁になっています。

--なるほど…。言語が違うと、感情を込めるのが難しそうですね。

すごく難しいです。。早く日本語のセリフを英語のテンションに持っていかなきゃいけないと思っていて。その難しさと戦っています。フリオに言われていることもすごくわかっているんですが、英語のテンションでは言えても“日本語って難しいなぁ”って思うんです。

さらに、宮澤佐江でだったら言えるセリフも、役のアニータだとちょっと女性らしく言わなければならない。マリア(アニータの恋人の妹)とは、そんなに年の差はなくても、別のタイプの女性として生きていなきゃいけない。

マリアはピュアな女の子で、それに対してアニータはいろんなことを知り始めた大人の女性。そうなると、ありのままの宮澤佐江のテンションではなくて、ちょっと背伸びしたテンションでいかなきゃいけない。

そこまでの貫禄を出さなきゃいけないと思うと、すごく難しい。“本当に難しい役だな”って、思っています。いろんな意味で、「アニータは一番難しい役だと思う」って、いろんな方から言われるんです。その意味がやっと、わかるようになってきました。

フリオが、ちょっとずつ、ちょっとずつ「もっと、こうしてみたら?」って、課題を出してきてくれて。

だから本番中も、こういう感じで、自分の中でいっぱい探しながら、“どれが正解なんだろう”って、思いながらやれると思っています。なので、ある意味“舞台に生きられる”と思っています。

--アニータは、このミュージカルの代表曲のひとつ「アメリカ」も歌って、踊っていますよね。「アメリカ」は、曲自体も長い曲ですね。

長いです。すごく長いです。長い分、もぉ…、踊りがしんどい…(笑)。というか悔しい!

--??

劇場のステージアラウンドに入って、アニータ役でダブルキャストのMay J.さんがステージで踊っているのを客席で見ると、全然息切れしているように見えないんです。だけど、自分がステージに立って踊ると、マジで死んじゃうくらい、ハァハァ息切れしちゃう。

途中で、「う、歌が…、歌、え、ない…」って、なっちゃうんです。

何が悔しいかというと、劇場が大きくて、ステージがすごく広いから、どんなにがんばって大きく踊っていても、全然、死に物狂いで踊っているように見えなくて! それが悔しくて。「こんなにも死に物狂いで踊っているのにぃーっ!」って。

でも、いいんです! あまりにもハァハァしているところは見せられないので。客席との距離が近いよりは、余裕のある距離で見ていただいた方がいいのかもしれない。

いいのかもしれない…、けど、やってる側は、“観てる方が想像する100倍以上しんどいからね”と思っている(笑)

--客席から観て、その死に物狂いが伝わりにくいのは残念というか、なんというか…。

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