ワシントン大学のライアン・ボグダンさんは、脳科学の視点から
「人生の早い時期、つまり子ども時代に不運な経験をした人たちは、恐怖や不安に対するストレス反応が大きくなる傾向にある」
と分析。
子ども時代のストレス……例えば、いじめやネグレクト、そして、虐待などがこれに当てはまるでしょう。
これらの不安や恐怖といった経験が積み重なると、実際に経験しているストレスよりも「大きく」、また「長く」、ストレスを感じるようになってしまうのです。
それほど感じなくても良いことにも関わらず、大きなストレスを感じてしまう。これでは生活が大変です。
子どもへのネグレクトや虐待は言語道断。ましてや、子どもから大人にかけては変化の多い時期です。
どんな親にとっても、子どもはストレスに強い子に育ってもらいたいもの。上記のように変化は人にストレスを与えるものですので、親としては、「ストレスに強い人間になるための育て方」を学んでおきたいですよね。
同書に解決のヒントがあります。子どものストレス対策として、効果的なのが「家族のコミュニケーション」。ある調査が同書で紹介されています。
被験者に選ばれたのは、田舎に住むアフリカ系アメリカ人の11歳の子どもたち。彼らは、父親や母親、祖父母一人と一緒に週一回、七週間にわたって学校に行きました。
そこで、コミュニケーションの取り方や、人種差別、薬物など非行の問題について一緒に考えました。親と子どもこれらの難しい問題について話し合い、解決する方法を探ったのです。
それから8年後。このトレーニングを行ったグループと、トレーニングは行わなかったものの、アドバイスが書かれた手引きを送ったグループとで比較を行いました。
「すると、トレーニングを行ったグループでは、炎症反応とよばれる体の反応が低いレベルに留まっていた。つまり、ストレスの悪影響を抑えることができたのだ」
それと同時に、子どもに与えるストレスは、「友だちとの対立や学校で起こる問題よりも遥かに大きい」ということもわかっているようで、やはり、家族のコミュニケーションがここでも重要になっています。
子どもたちをストレスから守るためには、家族のコミュニケーションが必要。当たり前のことですが、改めて考えさせられますね。
お子さんたちが大きくなった時に、ストレスを感じやすい体質になっていないように、是非とも、普段からのコミュニケーションを大切にしてみてください。